ロンドンに向けて
まだ日本から出たことの無かった頃、海外で行きたい所は?と聞かれれば、それ程興味は無いが、強いてあげるとすればスイスアルプス、カナディアンロッキー、エジプトのピラミッド、ドイツのノイバインシュタイン城、あと、オーロラを見に行きたい、といった所であった。ロンドンはどこにも出てこなかった。
海外旅行に出かけるようになって、上記4つのうち、エジプトのピラミッド以外は去年までに行く事が出来た。じゃ、なぜ、今回、エジプトでは無くロンドンだったのか。まあ、一番の理由は正直言って、こっちの方が安かったからなのですが・・・・(^^;
小学校の頃からボーイスカウトの活動をしていた僕は、イギリスなんてどこにあるかも知らないうちから、ボーイスカウトの発祥の地、、ロード・ベーデン・パウエル卿の名前と共にイギリスの名前を知っていた。そして、ボーイスカウトのカブ隊にいたときに読んだ話、それは「霧のロンドン」である。霧深いロンドン市街で道に迷っていた紳士の道案内をして差し出されたチップを受け取らずに立ち去ったスカウトの話であった。とりあえず、これが僕にとってのイギリスとロンドンの話の始まりである。
その後の僕にとってのイギリスは「世界史が始まった国」である。確かに世界史はもっと昔の文明から始まるわけであるが、僕自身にとっては「産業革命」以降が世界史なのだ。それは、エジプト文明等がその地域での文明に対し、イギリスは一時的に世界中にその植民地を広げた。それまでの世界史出てくる各地の歴史がバラバラ(例えばすべての道はローマに通じるといった所で、所詮、ヨーロッパの話である。)だったのに対し、それこそ、地球すべてを覆った歴史の始まりだったという印象が強い。この頃の世界史はイギリスから語られているのである。そしてその後、世界の覇者はアメリカへと移り、世界史の中心はアメリカになるのだが、一部地域の歴史ではなくなった。
一昨年、会社にいる間に一度だけという休暇を取りヨーロッパに1ヶ月滞在した僕は、それまでとは違ったものに興味を持つ事になった。それは「芸術」である。絵画になど、何の興味も無かった僕が、日本に帰ってからイタリアから絵が来ていると聞き、東京の上野まで見に行ったりするようになったのである。そして、今回のお目当ての一つは当然、大英博物館だ。もうひとつ、目をつけてきたのはナショナルギャラリーである。それから・・・おっと、これから先は旅行記に回す事にしよう。
そんな訳で、それ程惹かれるものがあるわけでは無かったイギリスであるが、いつかは行かないといけないなというような変な義務感みたいなものもあり、10カ国目となる国にイギリスを選んだ。
ANAのマイレージ会員になった事でもあり、ネットで検索をかけ、ロンドン滞在型のツアーを見つけた。例によってワールドエクスプレスの渡辺さんにメールを出し、似たような条件でプランを立ててもらったが、最終的にANAのツアーに入り、途中、離団した方が費用的にも今回の旅行の目的には最善だと判断し、ロンドン5日間のツアーに5泊延泊を頼んだ。
それなりの下準備はしたものの、前回まで程の下調べはしていない。特にネット関係に関しては変換コネクタを用意したくらいで、アクセスポイントも調べていない。AOLがこけたらお終いである。まあ、あきらめもついていいかも知れないが・・・。
いつもの事だが休んでいる間の仕事に不安を残しながらも、出発の日を迎える事となった。