ロンドン到着


 さすが全日空、日本国籍の飛行機である。キャビンアテンダントはほとんどが日本人で日本語が飛び交っている。国際線の機長の挨拶を日本語で聞いたのは今回が初めてだ。おかげで乗客もほとんど日本人である。ただ、日本語が通じるからサービスがいいかというと、そうでも無い気はする。前の旅行記に書いたように、小さな機体だったせいもあるだろうと思うが、スカンジナビア航空のサービスより上だとは感じなかった。あっ、けして悪かったという事ではありません。そのサービスに対しての人の好き嫌いもあると思いますので、僕の個人的な感覚です。
 飛行機の中で今回初めて映画を一本、まるまる見た。今までは大抵アイマスクをしてウトウトしながら過ごしていたのでまともに見た事は一度もなかったのである。で、何故見たかというと、たまたま見たかった、「アトランティス」がしていたから。ちょっと得した気分。

 やがて飛行機はロンドン郊外のヒースロー空港へと着陸をした。イギリスの入国審査は厳しく、ちょっとした言い違いから入国拒否をされる人が結構いると聞いていたので、少し緊張しながら審査へ。しかし、女性の審査官は、英語で「仕事か観光か」と聞いた後、すぐに、日本語で「シゴト?カンコウ?」と聞いてきた。「サイトシーイング」と日本語ばりばりの発音でいうと、すぐに、「ナンニチ?」とこれも英語の後すぐに日本語で聞く。「ナインデイズ」というと、パスポートと帰りの航空券をカウンターに置き、「Next!」と後ろに声をかけた。確かに大勢を見るので忙しいのは分かるが、いつも入国審査では拍子抜けする。まあ、僕のパスポートは確かに何もひっかかるような事は無いですけどね。
 乗っていた乗客の多くは乗り換えでイタリアなどの他の都市に飛ぶようで、ターンテーブルをまわる荷物は少な目だ。
 荷物を受け取り出口へ。「ANAハローツアー」と書かれた紙を持っている女性に声をかけ、封筒を受け取る。僕は最初の方だったので、この後、20分ほどの待ち時間が出た。個人出来ていたら横のカウンターでコーヒーを頼んでいるか、ドライブのための地図を探しているかしていたと思うが、待ち時間が分からないため、離れるわけにも行かない。パリに行った時のようにホテルを探してへとへとになる心配は無いが、反面、こういった所が不自由である。まあ、仕方ないですが。
 ANAのツアー客、20人が揃い、バスで3つのホテルへ移動する。男性は僕を含めて5人。後はすべて女性だ。改めて男女の差を感じてしまう。





 僕の泊まるパラゴンホテルは地図にもガイドブックにも載っていないし、住所もロンドンの地図の端に入るか入らないかという所だったため、期待はしていなかった。ANAのツアーで使う所だろうから、そんなにひどいところでは無いだろうとは思っていたが。





 バスがホテルの駐車場に入る。ロビーとは反対側の入り口から入るとANAの方が、「ここに集まってください。」といってホテルの事や次の日のマイバスツアーへの行き方等、事細かに教えてくれる。しかし、疲れているせいもあってか、正直、しっかりとは聞いていなかった。路線図も地図もあるから、場所さえわかればどうにかなると思っていた。一緒に聞いていたのは美人の娘さんと二人で来ている親子連れの人だった。

 渡されたキーを持って部屋へと入る。小さめのダブルベッドがあり、小さいながらも小ぎれいな部屋だ。例によって部屋の中を一回り見て回る。そして、驚いた。机の上になんとLANケーブルが出ているのである。日本では一泊3万ほどする東京の全日空ホテルでしか見た事が無い。洗面台の脇に出ているコンセントはスイッチで115Vと240Vを切り替えるようになっている。イギリスのコンセントは3つ又なのだが、それとは別に2又のコンセントもある。そう、このホテル、そうとう新しいのだ。
 英語で書かれているホテルの説明を見てみる。24時間のフロント受付はもちろん、ルームサービスも24時間だ。連れ合いが前にロンドンに来た時、「水道事情は悪い」と言っていたが、シャワーの水は加減をしなくてはいけないほどたっぷり出る。日本語でもらった注意書きに「バスタブは3〜4分でいっぱいになります。」と書いてあった。部屋には冷蔵庫は無いものの、お湯を沸かすポットにコーヒーや紅茶がおいてある。めちゃ、快適である。レンタカーを借りてB&Bにも泊まりに行く予定でいるが、駐車場もあるし、夜はこのホテルに戻ってこようかなと思ってしまうほどだ。

 どちらにしろ9泊使うのだからと、荷物を開け、スーツケースの中身をすべて部屋のタンスやクローゼット、机の横の引き出しへと移し、スーツケースは閉じてクローゼットの隅へ。パソコン関係のものも机の横の引き出しへ・・・・で、この時気がついた。モデムセーバーが無い。そう、忘れてきてしまったのだ。部屋のモジュラーはベッドを少しずらせば変換コネクターを差す事は可能だが、極性が分からない。僕のパソコンはLAN端子は無いため、せっかくの設備も使えない。どうしよう・・・・・。
 その昔、カナダに行った時はまだ極性が違うと交換機が壊れる事があるなんて事は知らなかったので無謀にもそのままつないで何とも無かった。今回もええいとつないでやろうかとも思ったが、知ってしまうと怖いものである。まあ、大都会ロンドンである。パソコンショップもあるだろうし、疲れているせいもあり、片づけをすると、夕食を探しに外に出る。しかし、やっぱり市街地より少し離れているため、手頃な物が無い。一旦、部屋に帰るとホテルのレストランガイドを見てカフェバーに行く事にした。何せ時間はまだ6時にもなっていない。お腹もそれ程空いていないが、実は眠気がするのだ。だから少しお腹に入れて寝てしまおうという魂胆である。

 カフェバーに行き、親切そうな黒人の女性にスパゲッティーを頼む。「飲み物は?」と聞かれたが、アルコールは飲む気がせず、ミネラルウオーターを頼む。「ノンガス」と言っても分からないようで、その女性は、「With? With out?」と聞いたので、「ウイズアウト。」と頼んだ。
 部屋付けにしたので、伝票にサインをする時に改めてイギリスの税金の高さを思い知った。17%を越える税率は値段を思っていた以上のものにしてしまう。他のサービスも値段を見たが、やっぱり高い。海外旅行に来て「高いな〜」と思うのはこれが初めてである。テレビで「ロンドンは物価が高い。」と言っていたのがよく分かる。

 何はともあれ、お腹が落ち着くと部屋に帰りシャワーを浴びてそそくさとベッドへと入り込んだ。


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