オーロラショー!


 1月31日(水)

 朝、目が覚めるとすでに7時をまわっていた。朝食に行くと、Sさんと会った。「昨日、オーロラ、見られました?」「はい、端っこの方だけ残ったような。」「いや、帯状に出てましたけどね。」「?」
 話を聞いていると、8時頃、雲が晴れて綺麗な帯状のオーロラが出ていたらしい。その人はここではなく、仕事先でトナカイに乗っている時に見たのだそうだ。電話をしなくてはと思いながら出来なかったとか。ドウントレッドではそういった騒ぎがなかったので、気が付かなかったのであろう。僕にしろ、時間的に言うと、ラーメンを作っていた頃だ。本当に気まぐれである。ここ、ドウントレッドでは晴れさえすればほぼ、間違いなく見る事が出来るそうではあるが。「ここは晴天率が高いって、きいたんですけど。」「本当に不思議です。こんな何日も天気が悪い所ではないんですけどね。」との事。もしかしてオーロラに嫌われたかも知れない。出るときには毎日のように出るらしい。滞在した1週間、毎日見て、最後の日に特大のオーロラを見ましたと感激してメールを送ってこられた人もいたとか。まあ、こればっかりはどうしようもない。

 今日もスキーをやるつもりで、初日はいたのだが、やめてコテージでゆっくりと過ごすことにした。正直言って、体のあちこちが痛い。全コース、滑った事だし、いいかなとも思った。確かにすばらしく滑りやすいスキー場だ。世界のトッププレーヤーがトレーニングに来るというスキー場。きつい斜面がどこを滑ってもあるが、とにかくコース幅がだだっ広い。幅60mを超える所もあるのだ。だからきつくても思いっきりコースを端から端まで使って降りてくれば、きつい斜面でも滑ることが出来る。
 こんな気持ちよく滑ることの出来るのはそうないだろうし、スキーも3日間、借りてるし、行かないととも思ったが、この「何々しないといけない」と思い、自分の感情を殺してしまうのは僕の得意とするところである。しかし、ここでゆっくり過ごす事もしたいと思い、行かないことにした。本を読んだり、うたた寝をしたりしながら一日を過ごすことにしたのだ。

 15時過ぎ、スキーを返しにレセプションに行く。丁度、Uさんが勤務に来られた。「昨日、オーロラ、見られました?」と聞かれ、僕が見たのと、Sさんが見たというのを聞いた話をすると、「Sさんはここから1時間くらい北に行っていましたから、そっちで見えたんですね。こちらでは雲がかかっていて誰も見ていませんから。」との事。やっぱり見えなかったんで、見逃したわけではないようだ。少しUさんと世間話をしてコテージに引き上げる。
 一人での旅行は気楽な反面、話し相手がいないという事がどうしてもついてまわる。ことにここではネットへの接続も成功しないので、メールのやりとりも出来ないため、少々、寂しい気もしないでもない。夜更かしの出来るのは今夜が最後なので、9時頃から1時頃までは粘ってみようと思っていた。

華麗なるオーロラ

 夕食を済ませてサウナに行き、コテージで休んでいると、電話が鳴る。「レセプションですけど、今、オーロラが出ていますので、よかったらどうぞ。」との事。時計を確認すると18時30分。随分早い。昨日よりは落ち着いて、でも、やっぱり慌てて荷物を持って外に出る。空を見上げるが雲があり、よく分からない。レセプションの方に歩いていくと、その向こうの駐車場に人影が見えたので、そっちに行った。「今、すごく綺麗なオーロラが出ていたんですけど・・・」と大学生の男の子。この子がレセプションに知らせたらしい。でも、町に買い物に行ったり食事をしたりと殆どの人はいなかった。空には雲と、その切れ間にうっすらとオーロラが見える。「さっきはもっと綺麗だったんですよ。」との事。スキーの時に出会った女の子も合流して少し暗い場所に移動して眺めていた。雲の流れが速く、合間にうっすらとオーロラが出たり消えたり。やがてそのうっすらしたオーロラも消えてしまった。いったん、レセプションに引き返すことにし、女の子2人は夕食を食べに行った。

 レセプション前でいろいろ話をしながら時々外を確認していると、薄くオーロラがかかりだしたので、外に出てオーロラを見ることにした。薄いオーロラが空の半分くらいに広がっている。やがてそれがハッキリとした形をつくりだし、大きな川のような白いオーロラが南西の空から北西に向かって伸びる。北に行くに従い、薄く広く流れていく。「もっと向こうで見ましょうか。」と、昨日Sさんに教えてもらった方に移動した。小さな外灯の光だけの場所で空を見上げてオーロラに見入っていた。「綺麗ですね〜。」と言いながら。淡く白く輝くオーロラは時折その端の方が青緑に輝く帯になり、また広がりを繰り返しながら、しかし月の光に負けない強さで輝いている。空の半分を薄く覆い尽くしていたオーロラの幅が狭くなってきたりして、まだハッキリ見えるものの、少し弱くなってきたかなと思い、「いったん、レセプションに帰りましょうか。」と歩き出した時、反対側に綺麗な光のカーテンを形作りだした。思わずまた戻って空を見上げる。
 この先は「写真でもビデオでも無理」というオーロラのショーが始まった。「すごい!」「わお〜!」「はぁ〜。」等、口々に叫びながら天上のショーに魅入られる。光り輝く光の帯は、まさにカーテンが揺れるがごとく光が走り、神秘の美しい姿を見せている。やがてひときわ光り輝くと、真ん中の方から爆発するように拡散し、消えていった。もう、感動ものである。
 これ以上のオーロラはそう見る事は出来ないだろうと思う。残念ながら僕のデジカメでは撮ることは出来なかった。フィルムの方も撮れているかどうか分からない。すごく長い時間、ショーを見ていたように思うが、頻繁にシャッターを切っていたにも関わらず、わずか24枚しか撮していない。シャッター速度は10〜30秒くらいになるため、一枚撮してから次を撮すまでは時間がかかる。最後のショーを撮していた分は4枚ほどしか無いので、時間にして2分も無かったのだ。だから、本当に見る事の出来る時間はわずかしか無い。みんな、その貴重なオーロラを見ることが出来て、21時過ぎ、満足してコテージに引き上げていった。


 一眼で撮った写真です。3枚だけ入れておきます。

 初めの頃のオーロラ。まだ完全に晴れていない雲を通してカーテン状に光を濃くしていく。


 雲も切れ始め、形をハッキリさせて揺れるオーロラ。揺れながら、形を変えながら、全天に薄く広がっていたオーロラがを狭く、明るくなりながら帯状に揺れていく。


 様々な色の光を発しながら全天に広がるオーロラ。




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