ドウントレッドのアクティブティー


1月29日

 朝5時に目が覚める。もう一眠りと思うが、家と違ってこれがまた眠れない。ええいと、そのまま起きてシャワーを浴びると、パソコンを開き、朝食の時間を待つ。7時から朝食だが、スキーの集合は9時30分なので早く済ませても早くいけるわけでも無く、また、昨日が沢山食べていたので、8時になってから朝食を取りに食堂へ行った。






 泊まっているコテージ。ベッドは4つある。





 レセプションのある、ホテル棟。ホテルの部屋の他、レストランやサウナ、プール等がある。

 朝食券を持ってくるように言われていたので、どこに出すんだろうと探すが、誰もいない。昨日の親子連れがいたので、お父さんに聞いてみると、誰もいないので渡していないとの事。バイキング形式なので、特に困りはしないが。
 しかし、メニューを見て、ちょっと参ったのが、野菜が無いことである。キュウリとトマトがあるだけで後は肉類とチーズ、ヨーグルトだ。肉類は少し塩辛すぎる感じである。まあ、寒い北極圏なので、仕方が無いと言えばそうなのだが。おもしろいのは、ご飯と生卵、醤油が置いてあるのだ。卵かけご飯は食べることが出来る。(^^)
 お客の大半は日本人なので用意してあるのだろう。でも、正直、ご飯に合うおかずではなさそうだ。僕はパンと肉類、ヨーグルトを取って朝食にした。

 朝食が終わると、身支度を整え、9時20分にレセプションの前に行く。9時40分、スキーに行く為に車を出してくれるが、僕一人だった。ホテルのある山裾をまわってスキー場に着く。帰りはビギナーゲレンデの横にあるリフトを上ればコテージの所に出るとの事。レンタルスキーのショップに行ってスキーを借りる。履いてきたスノーブーツはその場に置いて帰りに持って帰らないといけないのだが、もう一人の日本人スタッフ、Iさんが、「お一人だし、持って帰っておきますよ。」と言ってくれた。昼間の他のアクティブティーにあまり興味のない僕は、スキー三昧にしようと、3日間、レンタルをした。スキーレンタルと3日分のリフト券を合わせて1万円ちょっと。スキーを履くと曇り空の中、リフトへと向かった。

 スキー場の紹介は明日に回します。写真を撮らなかったものですから。


 ナイトツアー

 この日の夜、僕は山頂の小屋までのナイトツアーに参加した。ナイトツアーにも種類があり、犬ぞりに乗るもの、スノーモービルのそりにひかれていくもの、自分でスノーモービルを運転していくものである(犬ぞりとスノーモービルでは行き先が違うかも知れないが)。僕はスノーモービルを自分で運転していく方を頼んだ。「一緒に参加される人と運転をシェアされますか?」と聞かれたが、一人で運転をする事にした。二人で運転するのに比べて、200クローネ程高いが、後ろに乗っているだけというのももうひとつだからだ。
 17時45分、スキー用の服を着てレセプションの前に集まる。集まってみると、10人ほどいた。前の晩には誰もいなかったのに、よくもまあ、集まったものである。ガイドさんに連れられてさらに上に防寒服を着る。帽子、手袋、靴も履き替えた。もう、サウナ状態である。そりに6人がのり、スノーモービル組4人(夫婦1組と僕ともう一人の男性)はUさんに案内されてスノーモービルの所まで歩く。そこに着くと男性の方が日本人スタッフに「この辺で紹介しておいて貰えますか」と言った。お名前をSさんというこの人、なんと、旅行会社の人で、このドウントレッドを日本人向けに開拓した人だそうだ。後日、話す機会があったが、ドウントレッドのツアーに関することなら殆どがこの人の所を通っているようである。
 運転の仕方を教えてもらい、実際に運転が出来るかチェックするといって、ガイドが後ろに乗って駐車場を一回りする。そしていよいよ出発だ。先頭がそのガイドが運転する6人を載せたそりを引っ張るスノーモービル、その次にご夫婦、そして僕、最後にSさんである。出発前に注意として、顔に白い霜が着くけど、手で拭いてはいけないとの話である。手で拭くとそこに氷の膜が出来てそこから凍傷にかかるからと。冷たくて我慢できなかったら、そっと手で暖めて下さいとの事であった。零下の世界、思ったより暖かいが、ひとたび風が吹くと急激に体感温度が下がる。これから風を切って走るのであるから、そこそこ覚悟は必要である。
 走る道の殆どは整地されているので、実に快適だ。カナダで乗馬したときも思ったことだが、日本だと体験程度というか、乗馬しても5分か10分ほど、スノーモービルもそこまで走って帰ってくると行った程度だが、外国ではちょっとわけが違う。乗馬の時は片道1時間、ディナー付きで帰ってきて馬から降りる時には足ががくがくであった。ここも山頂まで片道30分程度、運転をする。時速20kmを超えてくるとなかなかの迫力である。真っ暗な中、周囲の雪がダイアモンドをちりばめたかのようにキラキラ光る。スノーモービルの音以外、何も聞こえない、スノーモービルのライトを除けば星明かり以外、何も無い自然の森を抜けていく。思わず周囲の景色に気を取られるとカーブでの対応が遅れたりしてひやっとする。気を引き締め直し、前についていくが、やがて顔がひりひりとしてくる。何度かマフラーをあげるがすぐに落ちる。やがて前のそりが停まり、ガイドが降りてきた。この時とばかり、マフラーを顔の周囲に巻き直す。この先は急な下りなので、ゆっくり降りるようにという事で、そりも半分の人を降ろして往復するようだ。前のそりがゆっくり動き出す。僕は巻いたマフラーの隙間からでた息がメガネを曇らせたため、あわててマフラーを外すが、曇りが取れない。そう、すでにメガネに凍り付いているのだ。何とか視界が悪い中、ゆっくりと下ると、そこが山頂の小屋であった。なんのことはない、スキー場のてっぺんだった。

 小屋の中に入ると着ていた防寒具を脱ぐ。ガイドがすぐに暖炉に薪をくべ、室内が暖かくなってくる。眼下にイリエバーレの町明かりが美しく輝いている。しかし、残念ながら空の上は曇っていて、星が全く見えない。この小屋からはスウェーデンの国土の11分の1を見渡すことが出来るのだそうだ。


 やがてガイドがトナカイの肉を持ってきてくれる。暖炉の火で焼いて食べる。基本的には生でも食べることが出来るのだそうだ。
 トナカイの肉は癖が強くてというが、ここではそうではない。生後1年以内のトナカイしか食べないからで、癖があるのは大人になったトナカイだから。
(Sさんの受け売りです。)
 なかなかおいしかった。(^^)

 他にもトナカイのサンドイッチ、サーモンのスープ、そして食後のコーヒーと、非常に満足の出来るものであった。どれもどこのレストランに行っても食べることが出来ないというか、レストランでは出さない、野外料理である。
 食後、まだ見ることのないオーロラの写真を見せてくれた。ドウントレッドでオーロラを研究している学者さんが取った写真だそうで、オーロラに対する間違った認識を覆すような、学術的な写真だそうだ。うっすらとした雲の上にかかるオーロラ、地平線から少し上にある太陽のその上にかかるオーロラ等、一般的には「見えない」と言われる条件下で撮られた写真がたくさんあった。

 写真を見終わった後、ガイドさんがアコーディオンを弾いてくれた。北欧地方の音楽を何曲か。照れながらも楽しい音楽や伝統的な音楽など。
 音楽を聴きながら感傷にふけっていた僕は、この寒い地方、人々はこうして雪の中で生活して来たんだな〜と思った。
 暖炉の前、ロウソクと暖炉の明かりだけ。落ち着いた、暖かみのある居心地のいい時間が流れる。

 天気が悪く、残念ながらオーロラを見る事は出来なかったが、素晴らしい時間を過ごせたことに満足出来た。帰りはしっかりと防寒服を着て帽子をしっかりかぶり、霊歌5度〜7度という夜道を下っていく。運転にも慣れてきて、所々にあるでこぼこ道や細い山道がおもしろい。圧雪になっている所では若干滑るが、それもまた楽しい。顔面が冷えてきて感覚が無くなってきた頃、出発した駐車場へと帰ってきた。


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