ドウントレッドまでの道程


スカンジナビア航空

  北欧の航空会社なので、もちろん、乗るのは初めてである。少し小さめだが、ビジネスクラスの座席には電源だけではなく、モジュラージャックまであり、インターネットへの接続が可能なのであろう。そう考えれば最近の機体である。あ、もちろん、僕が乗ったのはエコノミーですが。(^^ゞ 運良く窓際の席であった。
 ベルト着用のサインが消えるとキャビンアテンダントがサービスを始めるのだが、最初に案内が配られ、日本語を含む何カ国語かで到着までの間のサービスが書かれている。これはなかなか親切だと思った。読んでみると機内食は確かに1回だが、間でサンドイッチが配られたり、到着前に軽食が配られたり、間でも頼めばサンドイッチや飲み物をもらうことが出来るようで、こと、飲食についてはなんの心配もいらなかったようだ。

 キャビンアテンダントは2人一組になって各通路を受け持っているようだが、僕がいる通路を受け持った一人がけっこうな美人の日本人で、なかなか楽しい空の旅になった。飛行ルートは中国大陸を横切って北極圏を通過し北欧の空へ入る。西に太陽を追っかけるような感じで、ずっと昼の空を飛んでいる。機内食が出た後は窓を閉めるように指示が出たのだが、途中、何度もこっそり窓を開けては外を眺めていた。

 北極圏内を飛ぶため、太陽の位置が非常に低く、水平線の下であり、直接は見えない。水平線のあたりが明るく輝き、上は月と星(わかるでしょうか?三日月とその上に星が見えているのですが)が出ている。何とも言えない、美しい景色に見とれていた。下は一面の雲海で、雲が切れると流氷の浮かぶ北極海が見える。その神々しいまでに文明を寄せ付けない氷の世界。テレビでしか見たことのない世界が眼下に広がっているのを、一種の感動を覚えながら眺めていた。

 スカンジナビア空港のサービスは実にいい。小さな飛行機を使用しているせいもあるだろうが、なかなか行き届いていると思う。

 11時間に及ぶ空の旅も終わりに近づき、ベルト着用のサインが出ると、飛行機はコペンハーゲンの空港へと高度を下げていく。下は一面の雲海である。モニターに出ている表示が3000mを切ったくらいで雲の中へ機体が入り、程なくモニターの数字は2500mになった。一つの雲の層を抜けると次の雲の層が待っており、あたりはどんどん、暗くなっていく。視界が殆ど無い雲の中、高度は2000、1500と順調に下げてきて、やがて雲の下に出て眼下にコペンハーゲンの町が広がったのはなんと高度300mにさしかかる手前であった。厚さ2000m以上の雲の層。時間は16時半くらい。下は真っ暗な夜である。こんなに厚い雲にあったのは初めてである。
 眼下に広がる町明かりにはもやがかかり、幻想的な世界を見せている。美しいその町明かりをゆっくり鑑賞する時間もなく、飛行機はコペンハーゲンの空港へと着陸した。



 ここでストックホルムまで乗り継ぎである。機内放送で「出発の20分前までにはゲートにお越し下さい。」と言っていたが、出発予定時間は17時30分、今の時間は・・・17時である。成田出発が遅れた分、到着も遅れてしまった。出たところにあるモニターでD1ゲートだと確認して表示板に従いそちらに向かう。結構大きな空港で、沢山の免税店が並ぶ中(ピカチューもいました)、覗くまもなくD1ゲートへと着くとすぐに搭乗開始だった。



 順繰りに日本人は減ってくるが、ここではまだ3分の1くらいは日本人である。小さな男の子を連れた家族連れがいたが、その人達が丁度僕の前の席になった。次の飛行機は通路の両側に3つ、1列が6席の飛行機だ。ここでも運良く窓際の席であった。しかし、殆どは真っ暗な雲の中で、時間的にもすでに日は暮れた状態のようだ。
 機内でまた軽食が出る。あさましい私としましては、ついつい、全部食べてしまう。1時間20分の飛行は11時間に比べると非常に短く、あっというまにストックホルムの空港へと到着した。

 この空港で入国審査を受け、国内線へと乗り継ぎをする。パスポートを見せて滞在予定を伝える。無事通過をすると、荷物をピックアップするためモニターでレーンを確認してそのレーンの方に行くと・・・なんと、もうスーツケースがレーンをまわっていた。あわててレーンの奧に消える前に取り上げる。そういえば、成田でJTBのお姉さんが、「これ、付けておきますね。これがついていると荷物の預け換えがスムーズですから。」と話していた。時間がせいていたせいもあり(お前の性格だろうって?まあ、確かにそうですが・・)、いい加減にしか聞いていなかったが、改めてみると英語で「ドアサイド」と書かれたタグがつけられている。荷物を積む時の指定なんだなと初めて気が付いた。
 案内に従い、ターミナルを移動する。JTBのくれた案内に「徒歩でも移動出来ますが、無料の循環バスも出ています。」とかかれていたが、座りっぱなしでここまで来たので、歩いて移動することにした。途中、前出の家族連れに会い、どこまで行くのか聞くと、同じ所であった。やがてターミナル3の小さなゲートに着いたが、700mくらいあっただろうか。結構、歩いた。

 最後の飛行機はさらに小さく、通路を挟んで4列でキャビンアテンダントも一人だけだ。座席はフリーなので、早い者勝ち。僕は一番前の席が空いていたので、そこの窓際に座った。今度はジェット機ではなく、プロペラ機である。
 飛行予定時間は2時間5分。しかし、全くの闇の中で、結局、イリエバーレの空港までまったく何も見えなかった。機内でまたもやサンドイッチが出されたが、さすがに「コーヒーだけ下さい」と、サンドイッチはもらわなかった。案内には到着が深夜になるため、ホテルでもサンドイッチと飲み物を用意していると書いてある。身動きの出来ない機内で沢山でてくる食べ物、殆どブロイラー状態である。(^^;
 やがてひろ〜い滑走路を持つイリエバーレ空港に着き、飛行機はその空港の端まで結構長い距離をランディングしてから停まった。そして目の前には空港の施設が・・・。


 これがその施設。スウェーデンの地方空港である。中にはいると一応、荷物の出てくるレーンがあり、その前で待つのだが、窓から荷物を下ろして運んでくるのが見える。コンテナに入っているわけでもなく、丸見えだ。そのまま自分の荷物を持っていった方が早いような気がしないでも無いのだが・・。

 荷物を受け取って向かえに来たドライバーに連れられ車に乗り込む。あの親子連れも含めて僕を合わせ5組の日本人グループが乗っている。車は雪景色の町を通り抜け、山の方へと入り、宿泊地であるドウントレッドに到着した。時間は現地時間で22時30分。日本時間で言えば次の日の6時30分。家を出てから実に24時間50分。成田を離陸してから見ても17時間である。しかも今回、乗り継ぎ時間が1時間ほどで、ほとんど待ち時間がなかったのである。帰りは空港での待ち時間が4時間とかいうのもあるので、果たして・・・・。
 Uさんという落ち着いた美人の日本人女性のスタッフが僕達を迎えて簡単な説明と鍵を渡してくれる。さすがにみんな疲れているので細かいことは必要なときに聞いて下さいという事だ。「アクティブティで、ご予定があれば聞いておきますが。」の言葉に家族連れの方が犬ぞりを希望していた。僕はスノーモービルを自分で運転する、ナイトツアーを申し込む。明日の夜なのだが、最低2人集まらないと出発しないので、今現在誰もいないため、明日また連絡しますとの事だった。
 一通りの手続きが終わるとコテージへと向かう。僕のコテージはレセプションに近い2番であった。スーツケースはすでに空港に向かえに来てくれたドライバーが各自のコテージ前に運んでくれてある。鍵を開けて中に入ると実に暖かい。いつもの癖で一通り中を調べる。食器類はすべてそろっているが、多分、使用しないだろう。(^^)
 シャワーを浴びるのも面倒で、起きてから浴びようと取りあえず寝ることにした。


 トップヘ   前(日本出国)へ  次(ドウントレッドのアクティブティー)へ