オルセー美術館

 いよいよ、最終日。今日の午後4時30分に日本に向かってホテルを出発する。

 朝、起きると、連れ合いの具合が悪い。7時30分にIさんと朝食を一緒に食べながら今日の相談をする事になっていたが、無理そうだ。体温計を借りようと、添乗員さんの部屋に電話するが、出ない。携帯に電話をしようかとも思ったが、連れ合いが、「携帯になんか電話したら、どんなトラブルが起きたかって、びっくるするで。」と言うので、やめた。取りあえず、7時30分に食堂に降りる。Iさんは先に来ていて、食事をしていたので、その前に座ると、ホテルの人が部屋番号を聞きに来る。今は食べない、後でと言って、Iさんに連れ合いの具合が悪いこと、午前中は様子を見ようと思っている事を伝えた。

 部屋に帰る時、コップにお湯を一杯貰って帰る。昨日、隣のスーパーでカップスープを買っていたので、連れ合いがそれなら飲めそうだとの事だったので。

 スープを飲みながら、11時のチェックアウトギリギリまで部屋で休んでおこうかという話をする。もし、夕方まで部屋が使えるのなら、そうしようか、等と話をしていた。添乗員さんの部屋に何度か電話をするが、出ない。今回、分かった事の一つが、添乗員さんは部屋にはいないという事だった。(^^)
 最終日で、チェックアウトをしなければならないので、あちこち、手伝いに行っているんだろうなと思った。

 連れ合いが少しマシになってきたので、朝食を取りに降りる。出口に近いテーブルで食べていると、添乗員さんが来られた。「奥さんの具合が悪いと聞いたんですが。」と声をかけてこられる。事情を説明し、部屋を使う事が可能か、確認をお願いする。しばらくして戻ってこられた添乗員さんは、「ギリギリ、1時までならなんとかなるそうですが、1時に掃除の方が来られるので、4時までとなると、部屋代の半額が必要との事です。」と説明された。料金が発生するのは覚悟の上だったが、添乗員さんは、無料でどこまで使えるか、話をしてくれたようだ。本当に至れり尽くせりである。
 薬のおかげか、少しましになってきていたので、しばらく部屋で休んでからどうするか、決めますと伝えて部屋に帰る。

 10時頃、薬が効いたのか、かなりマシになってきたようなので、予定通りオルセー美術館に出かける事にした。荷物をまとめ、添乗員さんに電話をするが、やっぱり出ない・・・(^^; ご苦労様です。

 途中で前出の女子大生と一緒になり、荷物をホテルに預けてチェックアウト。キーを返すと女性がコンピューターをチェックして、「OK、Nothing」と両手を広げた。しかし、うちはセーフティーボックスを使用したのだが・・・・。そういってみると、もう一度チェックするが、記録がないのか、「どのくらいの時間?」と聞いてきた。連れ合いが「ツーデイズ」と言うと、「9ユーロ」との返事。24時間が5ユーロだが、長くなると割引になるのだろうか。
 精算を終えて、メトロの駅まで女子大生と一緒に歩く。しかし、前にパリに来たときにも、ホテルのチェックアウト時、電話の使用料を請求されず、こちらから言って支払った。パリのホテルって、こんなもんなのだろうか。

 メトロに乗り、僕たちは途中で乗り換えてルーブル美術館前の駅へ。女子大生はこれからシャンゼリゼ通りに行くらしい。







 雪のルーブル美術館前。オルセー美術館はここからカルーゼル橋を渡って5分ほど。連れ合いも元気になったよというポーズで写真に収まる。
 ホテルからオルセー美術館前の駅まで乗ると、3回乗り換えが必要になるので、ここから歩く事にした。







 カルーゼル橋よりオルセー美術館を望む。歩道に残る雪の上を滑らないように気をつけて歩く。お天気がいいが、風が冷たく、空気がキリッとした感じである。






 美術館に着くと、それ程並んでおらず、荷物検査を経てすぐに入る事が出来た。時間は11時半前。パリに来る計画をした時に、このオルセー美術館のレストランで昼食を食べたいねと言っていたので、取りあえず一番のお気に入りであるアングルの「泉」だけ写真に納めると、上階に上がる。レストランはまだ開いていないようだったが、中でスタッフが準備をしていた。何時からだろうと見てみると、11:45からとなっていた。ガイドブックには「予約が出来ない、行列の出来るレストラン」と書かれていたが、今のところ、まだ行列は出来ていない。もう10分ほどなので、前で待つ事にした。
 11:45、扉が開き、綺麗な女性が先頭に並んでいる僕たちを窓際の席に案内してくれる。メニューをみながら、20ユーロのランチにしようか、今日のスペシャルは何か聞いてから決めようかと話をしていると、見るからに人の良さそうな、品のよいウエイトレスがオーダーを取りに来る。「ドリンクは何にしますか?」の問いに、連れ合いは「今日のスペシャルは何ですか?」と聞き返す。ドリンクを聞かれた事が分かっていなかったらしい。何故か、ヒアリングだけは僕の方が連れ合いよりもいい。ウエイトレスは何も動じることなく、「今日はサーモンです。」とにこやかに答える。連れ合いはリゾット、僕はサーモンのランチを頼む。昨日の反省から、まだ薬を飲んでいる連れ合いはワインをあきらめた。






 おしゃれなレストラン。しかし、気を遣う事も無く、居心地がいい。天井にも絵が描いてあり、さすが、美術館のレストラン。








 連れ合いの食べたリゾット。胃の調子が悪い連れ合いも、これは全部食べる事が出来た。








 これがサーモン。結構、大きい。今回、パリで入ったレストランではここが一番だった。終始にこやかに、穏やかに対応をしてくれるスタッフ、料理も美味しい。20ユーロは高くないと思った。





 さて、ここで、フランス料理に対して思った事。それは、「熱くない」という事である。優雅に食べるフランス料理は、熱々のスープや、熱く焼けた鉄板に乗ったステーキが出てくる訳ではない。これは、フランスという国の文化が大きく関係していると思う。食べるお客も、そのレストランを形作るアートの一つなのだ。だから、「あつっ!」とかいいながら食べることは許されない。なので、料理もそれなりに出てくるのだ。良い意味でも悪い意味でも形を大切にしている。
 以前、フランスに住んでいた人から、「フランス語は訓練しないと、自然にしゃべられるようにはならないんです。」と聞いたことがある。これは、フランス語そのものを芸術としてとらえ、世界一、綺麗な言語にしようと研究された結果、不要な発音は取り除かれ、足りない発音を補い、人工的に作られた言語だからだ。小学校の低学年の授業は、その半分がひたすら国語で、いろいろな文章を読む訓練をするという。そうしないと、大人のしゃべり方が出来るようにはならないらしい。でも、フランス人の知り合いは、「フランス語は簡単だ。英語のように不規則動詞がある訳ではなく、規則正しいから覚えやすい。」と言っていた。メルシーとボンジュールとシルルブレーしかしらない僕としては、判断できないが・・・。
 連れ合いは、「もともと、パーティーなどで大量に出していた料理じゃない?」と言っていた。そういえば、フランスの家庭料理って、どんなのだろう?思い浮かばない。家庭料理ではナベで煮て、フーフーしながら食べるような料理もあるのだろうか。
 まあ、僕の勝手な感想なので、責任は持ちませんが。ともあれ、ここの料理は美味しかった。
 食事が終わり、デザートを選ぶ。タルトが4種類。連れ合いはアイスクリームが欲しかったので、「アイスクリームはありませんか?」と聞くと、ウエイトレスは、にこやかにうなずきながら、「OK」と言った。僕はレモンタルトを頼む。




 これが出てきたアイスクリーム。実は、連れ合いはバニラアイスひとつが欲しかったのだが、3つも出てきて、思わず声を出して驚いた。隣のテーブルのおばさんが英語で「パリではデザートもアートだから」と説明してくれた。






 コーヒーを頼むと、エスプレッソかアメリカかと聞かれたので、アメリカンと答える。ひとしきり、食事の余韻を楽しみ、チェックを頼む。カードを渡し、2ユーロをチップとしてキャッシュでテーブルに置く。ウエイトレスは最後まで気持ちよく対応してくれて、大変満足できたランチになった。

 レストランから出ると、連れ合いを残し、インフォメーションに館内案内を貰いに行く。しかし、館内がまだ改装中なのか、フランス語の案内しか無く、「日本語案内はありませんか」と聞くと、「No」と即答。しかし、その人の脇には「JAPANISE」と書かれたパンフレットが落ちていた。どうやら、まだ最終の形になっていないので、他国言語の案内は作成していないのではと感じた。連れ合いの待つ上階から見て回る。

 オルセー美術館の解説は、その筋に詳しい人に任せます。撮った写真から何枚か、ご紹介します。





 連れ合いが好きなゴッホの「オーヴェールの教会」。全体的に空いていて、殆ど人だかりはなかったが、ゴッホのコーナーは人があふれていた。








 なかなか迫力のある牛の絵。写真かと思うような所もある。








 なかなか綺麗な女性である。服の質感など、本当に驚かされる。





 小一時間、中を回り、地上階に降りてくると、ベンチに座り、しばしの休憩。鑑賞を終え、外へ出た。





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