ま・と・め




 今回の旅のまとめをしたいと思います。私にとっては、父の「最後にもう一回ヨーロッパに行きたい」と、連れ合いの「オルセー美術館にまた行きたい」という二つの希望を叶えつつ、海外旅行を楽しみたいということからのプランニングでした。フランスは私自身は4回目だったので、二度訪れている「モンサンミッシェルを父に見せてあげたい」という思いと、今まで行ったことのないフランスの田舎に足をのばしてみたいという気持ちもありました。それを伝えてプランニングをして貰いました。




 アビニョンまでのTGVに乗ること、世界遺産のアビニョンでの宿泊、マルセイユまでのドライブ旅行等々を提案していただき、ホテルもお任せで今回の旅行のプランができあがりました。84歳の父が同行するため、ホテルはちょっとグレードをあげてというお願いもしました。結果、予算的には少々オーバー気味でしたが、往路の飛行機がプレミアムエコノミーが取れたりして、とてもラッキーなこともありました。

 私の仕事の関係で12月25日限定出発ということで、良いツアーが見つからず、手配旅行に踏み切ったのですが、おおむね・・いやいや、かなり満足の旅行になりました。

 それにしても、元気とは言え84歳の父と一緒に旅をすると言うことは、いろいろな配慮が必要で、ストレスもたくさんありました。いくら元気でも、自分たちと同じようには歩けないということ。特に階段の上り下りや、飛行機などの座り続けるということか大変でした。手荷物を重たい荷物にして作ってくるなど、旅慣れているはずなのに判断が信用できない面があること、ホテルの部屋番号を紙に書いて渡しておいても、それを忘れて廊下をうろうろ探し回ったりなど、やっぱり記憶に問題があること等々です。幸い、父は自分の身の回りのことは自分で出来たので、ホテルの部屋を私たちと分けて、父をおいて夜景の写真を撮りに行きたいという連れ合いの希望も叶え、私も息抜きになりました。もう少し英会話に困らなければもっとスムーズに行動できて、父のことも寛容に受け止められたのかもとも思いますが、これは私の不勉強のせいですね。

 父は、また海外旅行をしたいと思っているのですが、ヨーロッパはかなりむずかしいのではと思っています。膝が大変だったことなどは忘れてしまって楽しいことばかりが記憶にあるようなのも、困ったものです。もし、次回があるならば荷物が少なくて良い常夏のハワイとか、飛行時間が比較的短いオーストラリアなどかなぁ・・と思いますが、さて、どうなることでしょうか?





 パリは、今回の新聞社銃撃事件テロなど、安全な街と考えられていても、何があるかわからないところですね。それを考えればどこにも旅行が出来なくなりますが、危機感を持って旅行をしていることと、それがあまり認識できないで連れて行って貰っているから安心という緩い気持ちの父と一緒にいるということは、大きく違うかもしれません。
また、旅行の途中で父は「また、連れてきてくれ」と言ったので、「最後にもう一回って言ったから今回はきたんやで」と答えると、「俺の生きがいを奪うつもりか」と言われ、「それは私の責任と違うわ」と言い返して喧嘩になりました。たわいもない親子喧嘩かもしれませんが、この日は一気にストレスが上がりました。

 それでは何で、一緒に旅行するのか・・やっぱり喜んで欲しいからなんですよね。矛盾を抱えつつ、老人を伴っての海外旅行のポイントを思いつくまま上げてみます。

・飛行機はシートの窮屈さや時差等、結構負担がかかります。ヨーロッパという指定だったので今回は仕方なかったのですが、出来れば短い飛行時間で行けるところがいいですよね。
・ホテルの立地は観光場所の近辺。いくら元気と言っても徒歩での移動距離は大きなポイントです。
・観光客に対する配慮のあるところ・・今回マルセイユは日本人の観光客の少ないところで、4つ星のホテルにもかかわらず、片言の英語では通じにくかったです。
・スーツケースと手荷物の適正な重さ・・これは私たちの配慮事項ですが、乗り物に乗る場合とか、、ホテルの中での部屋までの移動も、自分たちで荷物を運ばないと駄目なことはよくあります。ヨーロッパの普通のホテルはリフト(エレベーター)がないのも普通ですよね。しかし、ヨーロッパに行くならスーツケースはやはり必要なので、自分の荷物を自分で運べない人がいる場合は、行き先は要検討ですね。


 それにしても、すばらしい経験が出来たことには変わりなく、パリでの美術館巡り、イルミネーションの夜景の撮影、モンサンミッシェルの日帰り旅行、TGVに乗ってアビニョンに向かい、南仏の自然を楽しみながらのドライブツアー、マルセイユでの散策とクルージング等々・・満喫しました。そして、もし、父を連れて行かなかったら、きっと私は良心の呵責に悩みながらの旅程となったと思うので、今回の旅行が出来て無事に帰ってこれて本当に良かったと胸をなで下ろしています。


 みなさん、ここまで旅行記にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。今回の旅行を助けていただいたウェブトラベルの今さん、ドライブガイドのOさんに本当に感謝しています。もちろん、連れ合いにも・・(^^)。


 連れ合いのお義父さんに対する思いからプランニングが始まった今回のフランス旅行は、私が当初思っていたよりも遙かに素晴らしい景色と出会う事が出来た。お義父さんを連れて行くという事で、いろいろとケアする必要が出るだろう事は予想できていたので、私も3回目となるパリなら比較的、自由に動けるだろうと思い、初めはパリに入ればいいのでは、パリに行くのなら、改装後のオルセー美術館に行きたいと言った。
 プランニングが出来てくると、南仏に行くとの事。旅行誌やネットの旅行記等を見ていると、地中海は非常に美しいらしい。給料も減り、余裕の無い中、かなり悩んだが、カメラのレンズを2本、手に入れる事にした。滅多にないチャンス、撮り逃しはしたくなかった(するんだけどね)。
 結果としてはレンズを買っていってよかった。前回は撮っていなかったパリの夜景、特にシャンゼリゼ通りのクリスマスイルミネーション。マルセイユの夕暮れなどは、前のレンズでは撮れなかった。新しいレンズの方が手ぶれ補正の機能が2段分上がっていたので、撮る事が出来たのだ。それでもマルセイユの夕暮れは、撮った中の8割は手ぶれをしていたが・・・。





 南仏のドライブを自分でするのは危険だと聞いていたのであきらめていたが、今回のように現地のガイドに連れて行って貰うのはありだなと感じた。ガイドさんに聞いてみると、やはりレンタカーを日本人が運転していると目をつけられやすいとの事。「その分、高いのでは。」といえばその通りであろうが、海外でトラブルに巻き込まれるとお金の話では済まない事もある。私達のように終わりの決まっている観光客にとっては、お金よりも大切なもの、それは「時間」である。このガイドさんのドライブツアーは非常に良かったと思った。まあ、私は車の運転が好きなので、あの道を走ってみたいとも思ったが。(^^)


 パリから南仏へと移動すると、フランスの表情はガラリと変わる。自然の中に点在する古くからの建物。マルセイユでもそうだが、まったくの自然の風景よりも味のあるものとなった。ハワイの海でも今回の地中海ほど感激しなかった。撮った写真は全部で1400枚程だが、その中でまったくの海の風景より、やはり建造物が写っている写真の方が出来がいいように感じる。改めてヨーロッパの歴史と歴史を大切にする文化を感じた。




 街歩きの荷物については随分、迷った。カメラを持ち歩く関係上、どうしてもリュックになるからだ。シャンゼリゼ通りの夜景を撮りに行く時は標準ズームを着けたカメラと一脚だけを持ち、交換レンズを持って行く事をあきらめた。マルセイユの街中もリュックは買い物用と決め、バスタオルとティッシュペーパーだけを入れ、カメラは標準レンズ、予備のバッテリー等はポケットに。このリュックの中身を盗まれたら、スリの事を考えるとそれはそれで面白いかなとも思ったが・・・。

 今回、改めてフランスについて気がついた事がある。それは、「フランスは見かけを非常に重視する」という事だ。フィギュアスケートのグランプリシリーズを見ていた時、リンクの回りの広告が赤等も入りカラフルなのに、フランス大会だけは赤のロゴも青に統一されていたので、フランスはこだわるな〜とは思っていたが、今回思ったのは女性についてだ。
 初めてパリに来た時、体型にピチッとあった服を着ている女性を見て、自分の見せ方を知っているんだなと思っていたが、今回、フランス人の女性は太っていない事に気がついた。アメリカ人とは雲泥の差であった。結構、お年を召されている女性まで、スタイルの良い方が多かった。男性も太っている人はあまりいなかったように思う。


 アヴィニヨンからマルセイユまで、南仏のほんの一部だが、パリの3泊よりも南仏の3泊の方が強烈な印象が残った。機会があれば是非、また南仏に来てみたいと思う。ただ、パリに比べればやはり田舎。どこもかしこも英語で不自由しないパリ(ただし、私は英語自体が不自由だが)と片言の英語同士になってしまう南仏。地下鉄とタクシーで自由に移動できるパリと車が無いと不便な南仏。移民の多いマルセイユ。それなりの準備が必要である。それとお金も。
 しかし、それでもあのアヴィニヨンのミストラルが吹き荒ぶ風景、マルセイユの青い空と海、もう一度、と思う魅力が十二分にある。もし、次があれば、今度はあのマルセイユの夕暮れを撮る為に三脚を持って行こう。




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