マルセイユ散策〜フリウル島


 お約束の朝食は昨夜のレストランで7時スタートです。私たちが最初の宿泊客の様で、すぐにコーヒーかティーかとお姉さんが聞きに来てくれました。アビニョンの朝食ほどでは有りませんでしたが、そこそこいろいろな品揃えです。私はもう、いろいろ食べる元気は無く、パンを一つとシリアルを少し、ヨーグルトとチーズも少しでコーヒーです。連れ合いと父の食欲には毎朝白旗を揚げています。

 今日は、両替をしないとだめという事で、フロントに行きました。フロントで出来るだろうと思っていたのですが、出来ないという事で、地図を出して旧港の真ん中辺りにチェックして「ここで出来るよ。」と教えてくれました。約15分の徒歩で行けるそうです。朝なので歩いて行けるという事で、ホテルを出発しました。朝のマルセイユの景色はすばらしく、ヨットのマストが林立する港のまぶしい事!

 チェックして貰った地図を頼りに両替屋さんを探してほどなく見つける事が出来しました。やっぱりレートは高い目でしたが・・。それから、父の気になっている母へのお土産を買いにギャラリーラファイエットへ。百貨店です。海外の百貨店は、日本のそれとは品揃えが格段に劣ります。パリのギャラリーラファイエットはさすがに見事でしたが、マルセイユは、ここで買うならシャルルドゴールの免税店がいいかなと、品物をチェックだけして出てきました。そして、入ってきた所とは違う扉を出てしまいました。まぁ、私にはよく有る事なので言い訳も出来ませんが、ちょっとやばい通りに進んでしまったようで、しばらく緊張した時間を過ごしました。まだ、午前中ですし、たちまち誘拐されるとは思いませんでしたが、旧港に帰るのにポリスマンを見つけて道を聞いたり・・思い込みで歩くのは慎まないといけませんね。反省です。


 前日、ガイドのOさんから、「移民人街には絶対に入らないように。」と聞いていた。ギャラリーラファイエットくらいまでは大丈夫だが、それ以上は興味本位で行かないようにと。連れ合いはギャラリーラファイエットから出て、まっすぐな上り坂を歩いて行く。少し歩いて行くと、明らかに周りに白人がいない。道に黒人の物乞いが続けざまに3人、座っていて声をかけてくる。「ヤバイ!」と思った。雰囲気が変わるから判ると言われていたが、判ったのは5分くらい歩いた後だった。
 お義父さんを追い抜いて連れ合いに声をかける。連れ合いは前の方に見える凱旋門を目指して歩いていたのだが、「引き返そうか?」と言った。しかし、この時点で私は迷い込んだと思われないようにと思い、「とりあえず、広い道まで抜けてしまおう。」といい、さりげなくお義父さんの前を歩く。こうする事で、自然に後ろを何度も振り返っても、お義父さんの様子を見ているように周りからは見えるだろうと思ったからだ。一番後ろを歩いて、あからさまに後ろを振り向きながら歩くより、その方が安全ではと思った。
 凱旋門の所まで来ると、道は広くなり、車も頻繁に通っているが、雰囲気はよくならない。地図を見るが、場所が判らない。とりあえず、左に回り込んで登ってきた隣の筋を下っていく。多分、ギャラリーラファイエットの近所に出るだろうと思いながら、周りに注意して歩いて行く。
 信号で止まると左側にポリスが二人、駐車車両を見て回っていた。連れ合いが「大丈夫?」と聞いたが、このポリスにだまされるより、このままどこかに迷い込む方が危険だと思ったので、一人のポリスに声をかけて、「ウエア イズ ヒアー オン ディス マップ?」と聞くと、地図を見ながら一生懸命、考えてくれる。しばらく悩んでいたが、よく判らないようだ。「多分、このあたり。」と指で円を描くが、交差点が5〜6個くらい入っているので、さっぱり判らない。もう一人のポリスも来て、地図を覗き込み考えている。しばらくして、「どこに行きたい?」と聞いてきたので、連れ合いが「旧港に行きたい。」と答えると、「この先、2つめの交差点を右に。その次、一つ目の交差点を左に。まっすぐ行けば旧港だ。」と教えてくれた。(日本語で書いてますが、英語です。)
 しかし、地元のポリスが二人で考えても地図上で場所が判らなかったのだから、私達があのまま地図を見ていても、判らなくて当たり前である。あっさりと旧港について、やれやれであった。ちなみに地図はホテルで貰った観光用の地図で、英語版だった。





 まあ、旧港に戻るといきなり明るい世界です。本当に海外では通り一つで明暗を分ける事があるので、個人旅行は気をつけないと行けませんね。そして、本日行きたいと思っていた、「ヨーロッパ地中海文明博物館」という、ホテルとは対岸のミュージアムを目指しました。




 すぐに着けると信じていたのですが、入り口がわからず、FORT SAINT JEANというところを一周してしまいました。ただ、景色は素晴らしかったです。海の色、空の色、ヨット、カモメ・・風を感じながら(*^o^*)連れ合いは、アングルを考えるのをやめたそうです。どこをとっても絵になるので・・。






 建物の裏に回り、目の前にこの景色が開けた時は、「無茶苦茶や!」と思った。それ程、綺麗な青い空と青い海が目に飛び込んできた。これが地中海か!と思った。ここまでも素晴らしい景色を見て来たが、建物を回り込んで、いきなり目の前に広がる為、ここの景色が一番、印象に残った。沖合に出て行くヨットを望遠側で追いかけながら、広角側で景色を目一杯入れながら、カメラを縦に横にしながら何枚もシャッターを切った。






結局、博物館をあきらめてランチにすることにしました。ここに来る前に通ったレストラン街でそそられたムール貝のお店。結局カシでも入った同じレストランだったと思います。




 この店の前に、陽気なおばさんが立っていて、両手を一杯に広げて「Welcome!」と言って迎えてくれた。






 メニューをにらんで、生牡蠣・エビ・浅蜊等のシーフードプレートとムール貝のバケツ・フレンチフライ添えとパスタを注文しました。ベルギービールも(*^_^*)ムール貝は相変わらず火の入れすぎでしたが、幸せです。ただ、あまり言葉が通じず、シーフードプレートのアフターに何か持ってくると言われて、もう一杯のムール貝バケツが出てきたので、頼んでないと言ったのですが、下げてはもらえず・・何で?でも、それではともう一杯を食べてしまった自分が怖い・・(^^;)これは、連れ合いがお勘定をした時に謎が解けました。シーフードプレートには、もともとムール貝のバケツがセットになっていたのでした。ちゃんと読めよ(>_<)




 時間が出来たので、昨日のノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジルカ聖堂にトラムに乗って行くか、シテ島に行くか・・クルージングがいいね、と言うことになりチケットを買いに行きました。今の時期はシテ島に行く便はないことがわかり、隣のフリウル島へのチケットを買いました。島へ渡って、しばらく滞在しまた帰ってくるというプランです。フリウル島は、結構レストランやホテル、お土産屋さんもあるようでした。
しばらく時間を潰して、乗船です。その列に、並んでいると黒っぽい肌の家族の子どもたちがとても可愛いので見ていたのですが、「アナと雪の女王」のテーマソングを歌い出したので、びっくりしました。フランスで見る子ども達は、本当に可愛くて、白人はみんなお人形みたいで、黒っぽい子はとても生き生きとしていてまた可愛いんです。何人か連れて帰りたくなりました。


 本当に連れて帰られると困るのだが・・・。確かに可愛いというのはよくわかる。(^^)

 ここで、連れ合いの旅行記を追い越してしまった。日本に帰ってから、どちらかというと私より連れ合いの方が仕事が忙しい為、旅行記を書く間が無くなってしまった。なので、この後は私の旅行記になる。

 フリウル島までは約20分の船旅。前の方に並んでいた私達は、船内の一番前の席を確保。しかし、ここでは窓越しなので、写真が撮りにくいと思い、私だけ外の2階席へと行く事にした。しかし、すでに2階席は満杯で、通路にも人が立っていた為、私は階段の中程にポジションを取った。




 いよいよ出港。湾を抜けると一気にスピードを上げ、豪快に波を立てながら、船は大きく揺れる。女性が「Wooo!!」と何度も叫ぶ。船尾に乗っている女の子達は、手に持ったスマートフォンで豪快な波しぶきを撮っていた。


 父と私は船内のシートに座りました。けど、ちょっと外も気になったので、父を残して後尾デッキへ。港から遠ざかるほどに旧港が見渡せて、本当に美しい景色です。
さっきはあっち側から海を見ていたのが、今はそこからどんどん離れていく様はワクワクします。しかし、風が強くてずっとそこでがんばる事は出来ずに、景色と連れ合いがシャッターを切るのをしばらく見て、船内に戻りました。





 シテ島の横を通り過ぎ、まもなくフリウル島の湾内に入る。船は一転、揺れが収まり船着き場へ。





 上陸して、のどかな島内を散策する。ホテルやレストラン、サーファーショップ等もあり、シーズンには一杯になるんだろうな〜と思った。この写真の左手奥に見えるのは壁で、この壁のおかげでこの辺りは穏やかであった。壁の上に登る階段があり、その階段を上ったとたん、強烈な海風に襲われ、目の前には「わやや!」と言いたくなるような、これまた強烈な地中海の景色が広がった。

 



島は建物が並んではいましたが、閑散としていてちょっと悪い予感がしました。多分、ランチの時間が過ぎて、レストランやカフェが休憩の時間になっていたのだと思います。私達は、みんなが歩く方向について前に見える港の一番奥まで歩いて行きました。思ったより大きな島で、ウォーキングコースがいくつもあるようでした。一番奥に行き着いて、壁か堤防のように見える所へ上がっていくと、海が広がっていました。改めて地中海なんだなぁと見とれます。しかし、海風が強烈で、そんなに長くはたたずんではいられません。程なく、お店が並んでいる界隈へ戻ってきました。サーフィンショップの様なところで、石鹸や父がキーホルダーを買い求めるともう、することが無くなりました。公衆トイレを探しましたがなくて、開いているカフェを見つけて座りました。エスプレッソを頼み、次の船が来るまで時間を潰します。ここの店員のお姉さんは、はっきり「私は英語はわからない」と開き直っていましたが、飲み物を注文する事くらいは判ってもらえました。
青い空に背の低い木々の葉っぱが映えて、猫は時々カメラ目線を送ってきました。のんびり過ごす場所です。私達はちょっとそういう時間を過ごす事は苦手ですね。



 レストランが並ぶ通りに帰ると、トイレを借りがてら、コーヒーを飲む。壁のおかげで心地よい風が吹いている。空は青く、湾内の海は穏やかで、何をするでも無いが、屋外の席で日差しを浴びながら、コーヒー(ちなみにエスプレッソ)をお代わりしてゆったりとした時間を過ごす。今までヨーロッパのレストランで何度か屋外の席で食事をしたが、別に中でも良かった。しかし、このマルセイユでは、屋外の席は本当に気持ちがいい。シーズンには映画で見たような、日差しを浴びながら読書をしている風景が見られるんだろうな〜と思った。
 地中海の風景がこれほどのものとは思っていなかった。ここにいると、映画で見た、アマルフィーやアンダルシアにも行ってみたいな〜、ニースはここよりももっと都会なんだろうかとか、思いをはせる。

 ガイドさんの話では、マルセイユは治安の問題で、今は日本のツアーは昼間に来て、丘の上の寺院と旧港を回り、宿泊は他の地に行って、夜は宿泊しないのだそうだ。かくいう私達も2泊だけだが、もう少しいてもいいな〜と思えるような場所だった。

 帰りの船の時間が近づき、船着き場に向かう。しかし、ここで実におもしろい光景を見た。人がまったく並ばないのだ。降りる人が済むと、乗船口から扇状に人が広がり、我先にと入ろうとする。船員さんも並べようなんて気はまったくなく、目の前に来た人のチケットを切っている。
 こういう我先にというのと、順番に並んで入るのとでは、並んではいる方が全体が入ってしまうまでは結局、早い。列車などの定時運行も、こういった社会習慣が関係しているのかなと思った。

 帰りの船では、早々と2階席の一番左側の席を確保し、船が動き出すとそこで立ち上がって後ろを向いてシャッターを切っていた。
 湾から出ると、船は大きく揺れ、波しぶきが上がる。




 後ろを向いて景色を撮っていたが、船があげる波しぶきを撮ろうと、船の前、左舷側にカメラを向けて何枚かシャッターを切る。この写真を撮った瞬間、ヤバイ!と思って体を回し、カメラをかばう。背中にバシャッと波しぶきがかかり、カメラも少々、かぶってしまった。すぐにハンカチを出して拭くが足りず、何かの時には役に立つかなと何気なくリュックに入れてあったバスタオルを出してカメラにかぶせる。すでに回りの人は船内に避難していない。潮水が余分な所に回らないように、バスタオルに染み込ませるように拭き取りながら私も船内へと避難した。





 船内でカメラを拭き拭きしながら、やがて船はマルセイユの旧港へと帰ってきた。この後、会社等へのお土産を購入する為、再度、ギャラリーラファイエットへ向かう。

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