アビニョンからマルセイユまでのドライブ

 アビニョンのホテルはドゥ・ロルロージュといって階段の多いしかし内装の素敵なホテルと昨日紹介しましたが、今朝は朝食のすばらしさも特筆します。エレベーターと階段をいくつも使い、食堂へ行ってみるとそこには本当に芸術的に並べられた朝食の数々が迎えてくれました。パン、シリアル、ジュース、卵やソーセージ、ハム、エスプレッソマシン、果物にヨーグルト・・特に苺やブドウ、柿まで並んだ果物の充実とその配置は凄い・・連れ合いに言わせるとどこに何が置いてあるのか分からなくて機能的ではないそうですが・・。何故か食堂の窓側のスペースにはただならぬ大きさの白熊が数匹いて定期的に体を揺らして踊っていたりするのですが・・。白熊がホテルのイメージなのでしょうか?連れ合いに白熊と踊って貰いました。




 芸術的な朝食を楽しんだ後は、すぐに出発でした。ホテルに迎えに来てくけたドライバーはOさん(詳しい事はOさんのブログ「プロヴァンスのブログ」へ)という女性で、バンに荷物を詰め込んで出発です。Oさんは、運転をしながらガイドをしてくれていろいろな話を聞くことが出来ました。昨日のものすごい風はミストラルと言ってこの地方特有の物であること。これは吹き始めると三日も続くことがあるらしいです。そういえば昔教科書に載っていましたよね。

 そして、話はセザンヌの事になっていき、セザンヌにまつわる場所に案内されます。絵画好きの連れ合いもセザンヌはあまり興味がないのですが、この地方で生まれてパリに修行に行き自分の描きたい物が見つからず戻ってきて、このあたりを転々としながら多くの風景画を残したようです。ゴッホともお友達だったとか。この南仏には多くの画家が滞在して沢山の絵画を残しているようですが、この辺りの自然の美しさは芸術家を引きつける要素が多いのだろうと思います。幸いなことにお天気に恵まれた私達も、抜けるような空の色や植物の緑、広大な山や大地を堪能出来ました。また、オリープやラベンダー、塩、蜂蜜などの得産の品々からも恵まれた土地であることを実感しました。そして何よりも太陽の光が今でも最大の魅力として北ヨーロッパの人達を惹きつけているようです。


 セザンヌは、この丘の広場にキャンバスを立ててサント・ヴィクトワール山を描いたらしい。この写真の左手方向にサント・ヴィクトワール山が見える。周囲にはセザンヌの絵の模写が飾られており、当時の雰囲気を守る為に、山が見える方には建物などの規制がかかっているとの事。この場所自体、駐車場も無く、住宅地の中に有る駐車場に停めて歩いてくる必要がある。改めて観光に利便を図るよりも、その場所をそのまま残しておこうとするヨーロッパの文化を感じた。






 そして、車はエクス・アン・プロバンスという街に入っていきました。泉の街です。至る所にある噴水は、大きな物は冬の間水を停めてイルミネーションで水を表したりしていました。本当に至る所に噴水です。それもいろいろな形をしていて、言われてみればこれが噴水かというのもありました。
広場ではマーケットが開かれていて、大きなヌガーの塊やハーブの入った匂い袋、様々なチーズ、野菜や果物、オリープオイル等を売っていました。ちょっと買い物をしましたよ。チーズ売り場のおじさんは「アジミ」言いながら試食をさせてくれて、珍しいバジル入りの緑色のチーズを買いました。

 旧市内は昔の建物を残していて家の壁に聖人の像がついていたり、石畳の道が続き重々しい雰囲気です。しかし、店舗はロレックスやカルティエ、様々なブランド関係が並び、異色な感じがしました。広場のマーケットは何だったのかな・・。日本人が団体で来るようなことはないけれど、旅行者も多いようでした。ミラボー通りはカフェやホテルそして噴水がいっぱいでしたよ。




 エクス・アン・プロバンスを離れると一路、次の目的地のカシへと向かう。途中で、サント・ヴィクトワール山が綺麗に見える場所があるとの事で、写真を撮る為に道ばたに車を停めてくれた。


 沢山生えている木は杉と松で、大きな松ぼっくりがクリスマスの飾りとして用いられています。松の木々を額縁としてサント・ヴィクトワール山の写真を撮りました。セザンヌが愛した山で、今は多くのトレッキングや自転車で登る人が耐えないそうです。フランス人はスポーツとしての自転車を愛好する人が多いらしく、頂上への坂道を何人もの人が自転車で登っていくのを見ました。山の上には売店や宿泊施設があるわけではなく、ただの頂上だそうですが、その辺りは日本との違いを感じました。




 写真を撮った後、高速道路に乗りカシという街を目指しました。なんとその途中にカシの街の全貌が見渡せる写真スポットに案内して貰ったのですが、思わず感嘆の声が漏れてしまいます。連れ合いが用意してきたレンズやフィルター等を全部使い、いろいろと撮りまくった景色でした。しかし、寒くて寒くて・・(^^;)

 本人は5分ほどだと思ったようですが、30分くらいは撮影に費やして、カシの街へ降りていきました。カシの町は石の切り出して生計をたてていたそうですが、海水の保護のため石切を禁止したそうです。それを生業としていた村人たちは、どうなったのでしょうか?自然を守るというのは、生活のためには、厳しいこともあるでしょうに・・。



 いや、本当に5分くらいの感覚だった。しかし、考えてみれば標準ズーム、広角ズーム、望遠ズームとレンズを取り替え、PLフィルターの利かし具合を変えながら撮っていったのだから、確かに5分ではすんでいないのも納得・・・。
 しかし、あの景色は反則だ。(^^;
 でも、そう思ったこの景色も序の口であった。




 カシは小さな町で、一回り回るだけなら30分もいらない。しかし、青い空に青い海は本当に素晴らしい。



 昼食を取りにムール貝がある店に入る。手持ちのお金は、お義父さんが30ユーロくらい、私が70ユーロくらい。旅行の手配をして貰った今さんから、ドライバーさんへのチップが25ユーロくらいと聞いていたので、昼食はクレジットカード払いの予定だった。小さいとはいえリゾート地。大丈夫だろうと思っていた。シーフードの盛り合わせにムール貝を大きなお鍋で煮たもの、名物の白ワイン等を堪能し、チェックをしてもらう。78ユーロの請求書にクレジットカードというと、「No,Cash Only.」の答えが。財布からありったけのユーロ札とコインを出し、チップ込みで80ユーロを渡す。この後、両替所を探してみたが、見つけられなかった。クレジットカードのキャッシングマシンはあったが。
 日本人はあまり来ないのであろう、アヴィニヨン以降、JCBカードが使えたのは最後に泊まったホテルだけで、VISAかMasterがメインであった。


 カシは、今とても観光客が増えているところだそうです。夏は特にすごい人が訪れるようです。太陽と空と海、砂浜、お洒落なレストラン・・もちろん生牡蠣やエビ、ムール貝などを堪能しました。どうも、連れ合いの好きな私の笑顔はシーフードや冷えたビールが一緒だと磨きがかかるようなので・・!どこをとっても絵葉書になる街で、ランチと散歩をして、今回のドライブ旅行の終点である、マルセイユをめざします。

 マルセイユに入る前に、海抜154Mの丘の上にあるノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジルカ聖堂に立ち寄りました、丘の上からは地中海を見渡すことができ、「これが地中海かぁ・・・・」と、またしても感激!ロマネスク・ビザンチン様式という荘厳な聖堂は、赤っぽい石と白っぽい石がストライプに積み上がったちょっと東洋的な雰囲気も持つ聖堂です。なかの装飾や壁面画も非常に贅沢な凝ったものでした。もっとゆっくり過ごしたかったのですが、ドライバーさんの時間もあり20分ほどでまた車に乗り込みました。連れ合いはもう、写真を思うように撮るのはあきらめたみたいでした。


 どこをどう撮ればよいのか、よくわからん、というのが正直な気持ち。時間があまり無かったせいもあり、ゆっくりとフレーミングを考える事も出来ないし、どこをどうとっても絵になりそうで、ああ、こう撮っておけば良かったと後悔しそうで・・・。とにかく、あちこちにカメラを向けてシャッターを切り続けた。夕方の光が柔らかく、眼下に広がる景色は・・・・・はぁ〜。
 ちなみに、教会の中も素晴らしい装飾でした。
 「トイレがわかりにくいですから」とガイドさんが連れて行ってくれたが、教会の一番上が6階で、そこからエレベーターで2階に降りた所がトイレであった。ボタンの横に絵が描いてある。





 車は、坂を下ってマルセイユの町中に入っていきます早い夕暮れが忍び寄り、辺りは菫色からグレーに染まっていきます。旧港と言われる一番の繁華街は、ここにも大きな観覧車が光り、街はピカピカしていきます。車通りは多く、夕方のラッシュが始まってきたようです。すごく大きなリスがサンタの格好をしたイルミネーションがあったり、港にはおよそ3000隻と言われる数のヨットのマストが並び、わくわくするようなロケーションです。



 マルセイユニューホテルという四つ星のホテルは旧港の端に位置していて、ロビーに入ると「えっ、ここ?大丈夫?」とびっくりするほど豪勢な感じでした。Oさんに手伝ってもらって明後日の朝のマルセイユ空港までのタクシーの予約を済ませました。
そして、お部屋へ・・今回はポーターさんが荷物をカートに載せて部屋まで運んでくれました。始めに223号室に入って私たちのスーツケースを下ろすと、ポーターさんが首をひねっています。そして、父の206号室に入ると、その部屋は多分スイートで、大きなダブルベットとソファとたっぷりのスペースがあり、これは部屋を取り違えているとまた荷物を入れ替えました。父は普通のツインに、私たちはスイートに案内されたみたいです。「す・すごっ・・」私たちの目はまん丸ですよ。
さすがの広さで、スーツケースを2つ並べて開いても余裕のスペースがありました。今までヨーロッパのどのホテルでもスーツケースはベッドに乗せて開くものと思っていたので、ゆとりを感じました。贅沢やなぁぁ・・。父の部屋はバスタブとトイレが別室になっていて、お湯の出方に感激していました。


 フロントでチェックインをした時、「シングルとダブルで予約を聞いている。大きなベットひとつか、小さなベット2つのツインか。」というような事をフロントの人が言って、私は、これは2人部屋をダブルベッドかツインにするのかを聞いているのだと思い、ベッド2つの方を私と連れ合いが泊まる方に選んだのだが、どうやら、一人部屋はツインのシングルユース、2人部屋はダブルという事だったようだ。なので、上記のような事になってしまった。


 部屋について荷物を開けると、もう今夜は夕飯を食べに外に出て行く気力はありませんでした。今までのパリ、アビニョンのホテルはレストランがついていなかったのと、すぐ近くにレストランがいくつもあったので、夕飯を食べに出る事はそう大変ではありませんでした。今回は人の気配の無い道を少し歩かないとレストランやスーパーマーケットはなさそうでした。タクシーでわざわざ出て行くには距離が近すぎるし億劫でした。それで、ホテルのレストランに行きました。
 もちろん高くつくだろうという事は覚悟の上でしたが、そんなにすごいディナーを食べるよりは簡単なものを軽く食べて寝たいなぁと言う気分だったので、旧港付近の便利な立地のホテルだったら良かったのになと少し残念でした。これは明日もまた、同じ事を感じる事になります。

 席に案内されてメニューを眺めてましたが、毎度の事ながら英語表記を見てもどんなものかはわからない事が多いです。そんな貧しい英語力でよう個人旅行をするもんやと、我ながらあきれるのですが。それでも注文をしようとボーイさんを呼ぶと、私たちが見ていたのはランチ時のメニューだったらしく、ひっくり返してディナー用のメニューはこちらと訂正されました。メニューのお値段は跳ね上がりました。安いものがないので、適当に見当をつけて注文をしました。ワインもハイネケンも、頼みました。父に出てきたのは前菜がフォァグラでメインは大きなエビでした。連れ合いには前菜は何か魚のミルフィーユ仕立て、メインは羊でした。私は、マッシュルームのリゾットだけにしました。どれも凄くおいしかったのですが、大変ゆっくり出てくるので、食事自体が少ししんどいものになってしまいました。それに、若いお兄さんのボーイさんが英語がわからず、いちいち他の人に聞いて、その人も連れてきて・・という対応で、なんでこんな凄いホテルでこんなにサービスが悪いんだろうとちょっとがっかりしました。


 最後に一番いいホテルを手配してくれたんだと思う。施設は快適で、モダンなホテルだった。ただ、連れ合いは「ラーメンが食べたい!」とずっと言っていた事もあり、パンに飽きたと言っていた事もあり、英語で注文するのも疲れたと言っていた事もありで、少々、不満げだった。そのせいもあり、サービスが悪いと感じたようだが、荷物を運んでくれたポーターも、フロントにいたコンシェルジュも親切だったし、このホテルのレストランと立地以外については、連れ合いは何一つ、文句を言っていない。
 いずれにせよ、この旅行も明日が最終日。歩いて回るマルセイユの街は、どんな風景を見せてくれるだろうか。


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