総 括

2度目のパリ

 前回のパリ考察は、前の旅行記の「パリ考察」のページにあるので、そちらと読み比べていただくと面白いかも知れません。

 前回は夏だったが、今回は冬、しかも、滅多に無い、雪のパリであった。相変わらずの石の建物達は、カメラのシャッターを誘う。滅多に雪景色のパリは撮れないのだろうと思うと、ついつい、何でもない所にカメラを向けてシャッターを切ってしまう。

 今回はツアーだった事もあり、前以上に「パリの生活」を感じる事は無かった。同時に前回感じたような騒々しさを感じる事も無かった。一人ではなかった事や、あらかたスケジュールが決まっているため、それ程自分で気を張る必要がなかった事などが原因かも知れない。もちろん、寒かったせいで、パリそのものが夏より静かなのかも知れないが。

 パリの魅力は、やはりその芸術性であろうか。どこの街も観光で訪れる限り、そこの人たちの生活が詳しく見える訳ではないが、それでもパリは見事に一線を引いていると感じる。(対象なのはタイでトレッキングで訪れた村であろう。)
 奇しくも前回と同じく3泊。しかし、前回とはかなり違った3泊。リドなどは前回に比べると色あせて見えたし、オルセー美術館は前回よりずっと楽しめた。そして、今回もよく話に聞く、「フランス人は、英語が分かっていてもしゃべってくれない。」という噂は確認が出来なかった。皆さん、ごく普通に英語で話しかけてきた。まあ、前回以上に観光客の行く所にしか行っていないが。

 前回と違い、「もう一度、パリに行ってもいいな。」と言うと、連れ合いが、「わざわざパリにせんでもええやん。次は別の所にしたら。」と言った。まあ、考えてみればその通りである。再度、パリを訪れる機会があるのかどうかは分からないが、今回は連れ合いが一緒だったこともあり、前回よりは随分、楽しいパリ旅行になった。
 

添乗員さんのいるツアー

 正直、今回くらい気が緩んでいた海外旅行は無かったろう。添乗員さんがいるというのは、それだけ心強かった。
 もう一つ、今回は英語が殆ど分からなかった。リドに行った時も、大韓航空のキャビンアテンダントの時も。英語は何とか旅行出来る程度で、あまりしゃべる事は出来ないが、それでもいつもはもう少し、ましである。
 これは添乗員さんがいるという事だけでなく、ツアーの他のお客さんがいた事が大きいと思う。つまり、殆ど、日本語だけで過ごしていた為だ。頭が英語を使おうという方に切り替わらなかったようだ。ただ、日本語でコミュニケーションが取れるのは、実に快適だったが。

 反面、時間が自由にならない不便さは、やはり何度か感じた。空港での時間は、一旦集合する為、どうしても15分〜20分、時間が減る。出発の関空では、もう少しゆっくりコーヒーが飲めた。自分でしなくていい、楽が出来る代償である。いい悪いではなく、どっちを選ぶかだけの話であるが。

 今回、気をつけたのは、連れ合いの言った「集団行動、頑張ろうね。」であった。添乗員さんの予想のつかない行動はしない事。フリータイムの事をいちいち言っておく必要は無いだろうが、リドに行く事だけは伝えておいた方がいいと思っていた。ホテルへ帰るのが深夜になる為、帰国の前の晩なので、何か連絡事項が出来た時などに心配をかけるといけないからだ。

 しかし、添乗員さんというのはすごい。「添乗員さんは歳いってると出来ないよ。」と連れ合いが言ったが、よく分かる。帰国の朝には何組のチェックアウトを手伝ったのだろうか。今回は目立ったトラブル(にまで発展しなかったものはあったが)は無かったが、それでも忙しそうに見えた。もし、ツアーに入るのなら、大手がいいなと思った次第である。それは、現地にも事務所を持っている、または提携先があるだろうからだ。
 ハワイでの飛行機トラブルの時、わんさかとJTBの係や手伝いの人がツアーのお客をさばいていた。つまり、それだけ人が手配できるのだ。小さな旅行会社で、現地での手配力が弱い所では、トラブルがあった時に大変だろうし、安心がツアーの一つの売りであろうからだ。

 今回のツアーはまあ、丁度いいかなと思った。欲を言えば、もう1泊、フリータイムがあればベストだったかも知れない。+1万なら非常に魅力的だ。まあ、みんなで観光に回る時間は、今回くらいが限界かな〜と思った。

 JTBのウエブサイトでは、星の数でツアーの忙しさを表示してある。観光地をめいっぱい回るハードなツアーが星3つ、ゆったりしたスケジュールは星1つ。今回のツアーは、同じホテルで3泊するので、星1つのゆったりツアーであったのだが、正直言って、忙しかった。まあ、モンサンミッシェルはしょうがないと覚悟はしていたが。星3つのツアーって、どんだけハードなんだろうと思ってしまう。
 このハードなイメージは、どれだけ移動するかとかいった事ではなく、自分で決められる時間に関係があるように思った。もう1泊、フリータイムがあれば、随分と違っただろうと思った。それなら、パリの市内観光はとばして、一日ホテルでゆっくりして、フリータイムに自分でモンマルトルの丘に行くという選択肢を取ったかも知れない。

 しかし、それ以上に楽だったのは間違いがない。スリには気をつけたが、取りあえずついて行けばいいというのは気楽である。何かあれば添乗員さんに言えばという安心感は大きい。
 初めに思っていたほど、ツアーは窮屈でも無かった。特に一人で行くのなら、話が出来る日本人が一緒にいるのは大きな利点であろう。後は、今回のようにドンピシャのツアーがあるかどうかである。
 今まで旅行してきた国は、いずれも治安が良く、個人でもそれ程心配なく移動できる所だったが、もう少し治安が悪くなれば、自由に動くことが難しくなる。そういう場所に行く場合は、ツアーの持つ安心感は非常に大きなものがある。

 ただ、ハワイの所で書いたように、ツアー客のマナーの悪さはあちこちで見てきた。気楽な反面、お任せになりすぎ、自分で何かするという意識が無くなってしまうのではないだろうか。これが何となくツアーを遠ざけてしまう一つの原因である。

 いろいろと勝手なことを書いたが、今後、「添乗員さんのいるツアー」が海外旅行の選択肢に入ってくるのは間違いない。コストパフォーマンスは個人旅行では追いつかないからだ(タイの所で書いたが、お金と時間を天秤にかけて、お金を節約する為に時間をかける事が出来る人は別だが)。

 次に行けるのは何時の事やら分からないが、新聞のツアー欄を何となく読む事が増えてきたような気がする。








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