ローテンブルクへ


アクシデント!

 今日は中世の城壁をそのまま残しているという、ローテンブルクへ向かう。午前中にアウスブルグの街で靴等を買った僕達は昼食は途中のパーキングエリアで済ます予定で出発した。ロマンティック街道の標識(なんと、日本語が併記してある)を頼りに北に向いてひた走る。車の走行距離は650kmにもなり、そろそろ燃料を補給しなくてはならない頃だ。自分達の昼食は後にして車の燃料を入れる。「無鉛ガソリンはこれやな」とガイドブックを確認しながらセルフサービスで入れた後、併設のコンビニで料金を支払う。ドイツはガソリンは安くは無かった。(^^;
 しばらく走るとレストラン付きのパーキングのサインが。でも、間違えて一つ手前で街道を外れる方向に出てしまった。登り道になった合流点で一旦停止し、「もう一回、入る入り口を探さないと・・・。」とか話しながら発進しようとしたが・・・・なんと、エンストしている。やれやれと思いながらクラッチを切り、ギアをニュートラルにするとスターターを回す・・・・????かからない?????何度かやるが・・・・かからない・・・・僕の頭をよぎった出来事、後ろの車に合図して先に行ってもらうとクラッチを切り、坂道をバックしながら路肩に寄せる。そして車検証を探してチェック・・・・そう、ものの見事に運転していた車はディーゼル車だったのだ。この時点でもう、自分で何とかは出来ない事がはっきりしている。ガソリン車だと燃料を抜いてガソリンに入れ替えれば何とかなるらしいが、ディーゼルはエンジンを分解して掃除をしなくてはならないんではなかったろうか・・・。
 取り合えず車検証とハーツレンタカーとの契約書を持って目の前にある小さなホテルに飛び込む。フロントの女の子が笑顔一杯に迎えてくれたが、そこで僕が、「Can you help me?」と聞くと、一瞬、こわばった顔をして「Yes」と言った。よっぽど必死の形相だったのだろう。遅れてきた連れ合いと二人で事情を説明し、ハーツに連絡をしてくれるよう頼むと、快く引き受けてくれた。何度か電話をかけ直している。どうやら、ハーツから近くの契約修理工場を教えられてそこに電話するよう、指示があったようだ。僕たちと話す時は英語だが、電話でしゃべる時はドイツ語のため、やり取りはまったくわからない。手間のかかる電話を笑顔で済ませてくれた彼女は、「30分くらいでくるとの事です。ここでいてくれと言っていました。」と教えてくれた。時間はすでに13時15分。ホテルにレストランが併設されていたので、そこで食事をする事にした。オーダーをした後、息子が車に積んである水が欲しいというので一緒に車の方に行くと停めてある車のすぐ後ろに一台のバンが停まった。まだ15分しか経っていないのにもう来てくれたようだ。連れ合いが応援に来てくれて話をする。ボンネットを開けるとキャブレターだろうか、一箇所、ふたを開けてすぐに、「これはディーゼル車だ。」と手を広げた。取り合えず持ってかえって修理するから1時間ほど待って くれとの事。航空券等の大事な物が入ったリュックを車から出すと、ホテルのレストランで待っている旨伝えて車を預ける。

 まあ、待つしかないので、ゆっくりと料理を食べようと、いろいろ注文して、そのレストランの料理を楽しんだ。しかし、予定の14時30分を過ぎても一向に返ってこない。ホテルのレストランは、「ここで車を待っていますか?」と聞いてくれた。「ここにいてもいいですか?」と聞くと、「いいですよ。」との返事だったので、待たせてもらう事にした。通常、このあたりのレストランは14時から15時くらいの間から16時頃まで休憩に入り、店を閉める。だから、迷惑だろうに、他に誰もお客のいないレストラン内でゆっくりとさせてくれた。
 15時30分を過ぎてもまだ来ないので、様子を見がてら、アウトバーンの上にかかる歩道橋まで散歩に出た。歩道橋の上から流れる車を見ていると息子が走ってきて、「タクシーで来て欲しいらしいで。」という。後から来た連れ合いが、「ホテルに電話がかかってきて、持って来ることが出来なくなったので、タクシーで来て欲しいねんて。」と言う。ホテルの人がタクシーを呼んでくれて、行き先もホテルの人がタクシーに伝えてくれると言う。
 ホテルに戻り身支度をすると程なくタクシーが来る。お世話になったフロントのお姉さんにチップを渡そうと探すがいない。連れ合いと息子が探しに行き、僕は運転手に「僕達の行き先を知っていますか?」と聞くと知っていた。ホテルのお姉さんはすでに伝えてくれていたようだ。

 タクシーに乗り、来た道を引き返す。近くはないと聞いていたので、タクシー代にもかなりいるだろうな〜と思いながら乗っていると、10分もしないまについた。17DM。思っていたよりずっと近かったので良かった。チップ込みで20DMを運転手に渡し降りる。到着したのはフォードのディーラーだった。実は僕はこの時まで自分が乗っている車がフォードだとは知らなかったのだ。(^^;

 修理工場の中の車。手前の黒いのがそう。迎えに来てくれたお兄さん達は中で忙しそうに働いていた。ハーツとの契約書と車検証はホテルで電話をする時に持って出たため、僕が持っていた。フロントのお姉さんに渡すと、契約書を確認してハーツに電話をしていた。
 周りを見るとフォードグッズがいくつか売っている。そんな気分でもなかったが、こんな経験は2度としない(したくない)と思い、帽子をひとつ買うことにした。記念にいくつか帽子を買ったが、この帽子が一番、思い出深いものになりそうだ。
 やがて出て来た、3回以上はギョッとするような請求書を見て、クレジットカードで清算をする。今回の旅行中、一回できったものはこれ以上高いものは無いだろう・・・。
 親切な整備場のお兄さんは、丁寧に近くのガソリンスタンドを教えてくれて(2km程先らしい)、すぐにそこにいって燃料を入れるように言った。請求書の明細には燃料は1Lしかなかったが、5L入っているらしい。
 お礼を言って、修理の済んだ車に乗り込みガソリンスタンドを目指した。

 教えてもらったガソリンスタンドで、何度も確認しながら今度は軽油を入れる。時間はすでに17時を回っている。目的地のローテンブルクまではまだ200km以上ある。車を待っている間に連れ合いが電話でホテルを取ってあったので、泊まる所の心配は無かったが、こうなるとあまりに遠い距離である。しかもここからローデンブルクまではアウトバーンが無いのである。ひたすら一般道であるロマンティック街道をひた走る。
 ドイツのアウトバーンが制限時速が無いのは有名であるが、実際は半分くらいは速度制限がある。そして、一般道が制限時速だらけかというと、実はそうでもなく、半分以上は制限時速の表示が無い。ただ、日本のように制限時速の表示が無いときは何km/hと言う話はあるのかも知れないが、片側一車線の、中央線しか引いていない道でみんな100km以上のスピードで走っている。今まではすこし控えめに走っていたが、今日は回りの車に負けないスピードで街道をひた走る。でも、弱り目に祟り目と言おうか、何と街道の途中が工事中で通行止めなのだ。こうなるとにっちもさっちも行かない。ローカルの地図が無いため、回り道がわからない。日本のようにすぐ横ではないのだ。回り道の表示に3つの地名が書いてある。つまり、3つの小さい町を通り抜けていくのだ。たぶん、ダンプカー等はそちらに行くのだろうと勝手に予想して後をついていく事にした。しかし、実際には途中にある工場に入ってしまい、後は勘と太陽の位置と車の流れを頼りにローテンブルクを目指す。30分ほど走り、「ロマンティック街道」の標識を見つけた時には万歳したいくらいだった。しかし、残り距離がわか らないため、気持ちは相変わらず焦っていた。ローデンブルグは城壁の中の街で、中のホテルに予約があると車で入れるが、そうでないと城壁の外に車を停めて入らなくてはならないとガイドブックに載っている。城壁の門で停められたら、歩いてホテルに行って助けてもらわないと仕方ないな〜と話し合っていた。
 時計が19時を回った頃、ローデンブルグの街へ入る門にたどり着く。どこで停められるのだろつと思いながら走っていると・・・????そう、な〜んもなく、中に入ってしまった。そして中には車が走り回り、所狭しと駐車車両がある。どこが車両進入禁止だーと言いたくなる。
 しかし、中世の町そのままで、道が狭いため、ほとんどが一方通行規制で、目指すホテルにたどり着けない。10分くらい走り回った後、諦めて路上に駐車すると歩いてホテルに向かう。何と歩行者専用道路の中である。たどり着けないはずである。しかし、駐車場があるとの事なので、道を聞いてホテルの裏側に停めた。時間は19時40分。遅くはなったが、あのアクシデントの後、予定を変えないで何とかたどり着く事が出来た。

 左に見える丸い看板が本日の御宿。1階がレストランで2階以上がホテルになっている。でも、荷物を運ぼうとして初めて気がついた。エレベーターが無い・・・・・。部屋はセカンドフロア、日本で言う3階だった。ちょっと、大変・・・・。
 一息ついた後、夕食を食べがてら街に出るが、結局、ホテルのレストランで夕食を食べた。


 日が暮れてからの街の中心にある広場の夜景。日本からのツアーも多い街で、なんと、この時間(22時前)に先頭が旗を持った日本人団体がこの広場で説明を聞いていた。どんなツアーなんだろう・・・。

 アクシデントのおかげで、非常に疲れた一日になってしまった。夜は何もする気になれず、ベッドに入った。


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