モン・サン・ミッシェル

 5時過ぎに目が覚める。外はまだ暗い。すでに起きていた連れ合いと話をしながら朝を待つ。朝食に行く前にシャワーを浴びて身支度を整えた。

 
 朝はちょっと早めの朝食。普段はレストランは7時オープンということでしたが、この日だけは早朝出発ということで、6:45に開けて貰って食べることが出来ました。クロワッサンとフランスパン、コーヒーメーカーのいろいろな熱い飲み物、紅茶、コーンフレークに牛乳、バターやジャム、ヨーグルトにパッケージに入った梨のコンポートといった所です。ハムやチーズ、サラダなどはありませんでした。まあ、安いホテルやもんね。


 前に来た時、リドで一緒になった女性が、ホテルの朝食に文句を言っていたが、こんなものなのだろう。事前にあちこちで口コミを読んでいた僕は特にがっかりすることもなく、それよりもコーヒーサーバーが、幾種類ものコーヒーを入れる事が出来るのが嬉しかった。あまり歯が丈夫でない僕は、フランスパンは選ばず、クロワッサンを2つ、シリアル、イチゴジャムを朝食にした。
 パスポートなどをセーフティーボックスに預ける。連れ合いが申し込みをしてくれたのだが、添乗員さんが言っていた5ユーロの単位が分からない。取りあえず預けて、添乗員さんに聞いて貰ったところ、24時間5ユーロとのお話だった。最終日、朝の8時までに鍵を返せば、48時間で済むとの事だ。



 7:30に集合、モン・サン・ミッシェルに向かって出発です。まだ、あたりは暗く、日が昇るのは9:30頃ということでした。さすがに冬のパリです。本当にその頃になると辺りが明るくなってきて、今日はお天気みたいなのでほっとしました。
運転手さんにボンジュールと挨拶をして、さあ始まりました、バスの旅。モン・サン・ミッシェルは往復700キロ、大阪ー東京間は約600キロだそうです。そんな遠くだとは知らない方もいてはりました。パリは通勤に車を使う人が多く朝夕の通勤ラッシュは大変みたいです。が、それほど混むことなくパリ市街を抜けて高速に乗りました。見渡す限り、のどかな田舎の風景です。
ちょっとウトウトしながらも、やっぱりねむれない私・・夜にあんなに寝ていたのにまた寝ている旦那さんにちょっとむかっとしながらもドライブは快適でした。





 バスで寝ているからとムカッとされても・・・飛行機では殆ど眠れなかったし、ここ2日間の睡眠時間から考えれば、普通の事だと思うのだが・・・。(^^;
 まあ、連れ合いは眠れなかったようなので、仕方がないが。

 パリは滅多に雪が降らないのだとか。運が運が良かったのか悪かったのか。窓の外にうっすらとした雪景色が広がる。





 行程の半分以上走った位の所でトイレ休憩。私はなぜかお腹がすいて、サンドイッチを買って二回目の朝食をしました。かなり体内時計というかリズムが狂っていたみたいです。実はこれ以降、ほんとに食べられなくなるので・・。







 雪の残るサービスエリア。中にはスナックカウンターもある大きなコンビニといった感じ。車のヘッドランプやクーラント等、カーメンテナンス用品も売っていた。





 モン・サン・ミッシェルに近づいてくると、添乗員さんがモン・サン・ミッシェルの謂われをあれこれ説明してくれました。何とか言う牧師さんに大天使ミカエルからのお告げがあって・・というお話ですね。円形にモン・サン・ミッシェルが見え出すと、もうまるでおとぎの国のお城です。私はここを訪れるのは二回目なので、前の記憶をたどりながら道を進むのですが、本当にすごい、そして素敵な建造物だと思います。そして、その立地の環境がもうまったくすごい、すばらしいんです。

 今はモン・サン・ミッシェルに入るのに道が出来ていて、駐車場にもなっています。その、遠景を撮影できる地点でいったん駐車して写真撮影をしてくださいと言うことでバスを降りました。旅は写真を取ることが大きな目的の一つである旦那さんはもちろん張り切って撮影開始です。いろいろと自分の位置を探りながらアングルやわたしのわからないいろいろな設定をして・・とても決められた時間で満足いくわけはありません。景色だけではなく、愛しの奥さんも撮影しないといけないわけですし・・。
だから、不満を残しながらもタイムアップで再びバスへ。そして、いよいよ、モン・サン・ミッシェルへ入りました。






 天気が良かったので、露出はオートで。持ってきたレンズ2本(35mm換算値28−200と17−35のズームレンズ)にPLフィルターをバスの中で装着していた。
 
 モン・サン・ミッシェル入り口の駐車場で広角ズームで撮った写真。光が順光に近いため、どれくらいPLフィルターの効果が出るか疑問だったが、パソコンに転送して確認すると、思っていた以上に効いていた。

 添乗員さんの声はイヤホンで聞こえるので、すぐそばにいる必要はない。電波がとぎれない範囲で駐車場をうろうろしながら撮った一枚である。
 まあ、あたりきといえばあたりきの写真ではあるが。



 まずはレストランやおみやげ物やが並び、ここで昼食となりました。名物オムレツが前菜で、チキンとポテトフライのメイン。そしてデザートはチョコレートケーキでした。初めに自由に座ったテーブルごとに飲み物の注文です。みんなはやはり名物のリンゴのシードルを頼んでいましたが、私は前回にあまり美味しくないことを経験済みでしたので、赤ワインにしました。オムレツは卵の白身をメレンゲにして焼いた物で、片側だけしか焼かないのでモワッと汁状に広がっているお皿もありました。時々厨房の方から大量の白身を機械でかき混ぜているであろう音も聞こえてきました。お味の方は・・まぁ、そこそこですね。でも、名物を食べられるというのは良いものです。トイレを順番にすませて、さぁ出発。これからは、日本のお寺なんかと同じで参道の階段や坂をずんずんと上がっていきます。





 昼食を食べたお店。添乗員さんが周りの説明をしながら歩いていて、「レストランを通り過ぎてしまいました。」というハプニングも。まあ、数メートルの事ですが。

 食事の後、テーブルごとにドリンクの精算をする。係の人が来て、空のコップを指さしながら、「4ユーロ、4ユーロ、4ユーロ」と言っていく。それぞれ、グループ毎にコップを並べて指さすと、紙のテーブルクロスに金額を書いていく。一通り払うと、次のテーブルへと移っていったのだが・・・・。実はこの時、一人で参加されているIさんが席にいなかったのだ。この係の人、テーブルで合計いくらかはチェックしていなくて、払う人がいなくなったら、移っていったのだ。誰が払っているかも気にしていないようだ。何というアバウトな・・・多分、足りてないと思うのだが・・・。






 もちろん、そこもあそこも絵葉書になるようなすばらしい景色です。旦那さんのシャッターの音がとぎれることはありません。私も小さなデジカメでそこそこ撮りましたよ。
ここで、印象的だったのは、Kさんがろくにあんちょこも見ないですばらしいガイドをしてくれたことです。完全に頭に入っているんだなと、本当に感心しました。私たちは、ラジオガイドを通して、彼女の説明を聞くので少しくらい離れていても聞こえるせいで、「あれあれKさんはどこにいるの」ということもありましたが、よぉく説明をいただきました。グッドジョブでしたよ、Kさん。

修道院は信仰のない私たちにとっては、内部のどこそこより外に向かっての景色の方に感動しがちでしたが、このような建造物があるということにも充分感動してしまいます。日本人がヨーロッパに来ると多分みんな、古い建物や遺跡、絵画や彫刻が残っていると言うことに驚いてしまいます。そして、文化の違い、思想の違いを感じることで私たちは、改めて日本について考えたり感じたりしますよね。まぁ、それが海外旅行をする大きな意味の一つですよね。今回も、そういうことを堪能しながらの旅になりそうです。 



 モン・サン・ミッシェルの解説は他に任せます。いっぱいあるでしょうから。(手抜きだな〜)
 といっても、何も書かないというのもなんですので、感想くらいは・・・。
 写真を取りながら登ったせいもあり、思っていたよりも一番上まで登るのはしんどくなかった。いろいろな様式が組み合わさった建物は実に興味深い。いくつも回らないと見られない物が一同に集まっているようで、何となくお得感。よくもまあ、うまいこと組み合わせたな〜と思った。前にテレビで、「モン・サン・ミッシェルは中からの景色は大したことはない。外からの景色が素晴らしい。」と言っていたが、けしてそんな事はない。中からの景色も充分、素晴らしい物だった。
 さて、上の回廊に出た時、飛行機の中での疑問が解けた。連れ合いが、「あの人、やっぱり、ガイドさんやったわ。」と言ってきた。見てみると・・・確かに、飛行機の中で、連れ合いに携帯電話の電源の切り方を聞いていた、あの人だ。ガイドなら、携帯電話の切り方くらい、しっとけよな〜と思った。

 写真を撮っていたのは僕だけではなかったが、一組、気になるカップルがいた。連れ合いが「美男美女のカップル」と表現したが、背の高い男性と綺麗な女性の組み合わせだ。コンデジで奥さん(多分)をモデルに撮っているのだが、横から見ていて、(それは無理じゃないかな〜)とか、(ストロボを焚いた方がいいのにな〜)等と思っていた。わりとアングルにはこだわっておられるようで、かがんでみたり、いろいろしておられるのだが・・・。まあ、こちらのカメラで撮ってあげましょうかとも言えず、思っていただけだが。


 モン・サン・ミッシェルを後にして、またまた高速道路へ。途中休憩を経て、市内に入りモンマルトル近くのレストランへ寄りました。今夜のディナーは肉料理とのこと。確かにビーフ料理でした。この時に同席したのは、画廊の仕事をとているという若い男性の二人組み。会社からお金を出して貰って勉強に来たということでした。自由時間は美術館めぐりという話を聞いて、絵画好きの私たちは興味津々。彼らが、仕事のほとんどが絵画展を催すための地方の百貨店めぐりと聞いて、へぇ~ ・・という感じでした。でも、費用が会社もちで来れていいねぇ・・!
このディナーは、実はもうひとつで、若い大学生の女の子はほとんど何も食べられませんでした。その、大学三回生はアメリカのディズニーランドの就職試験の一次選考を通っているとかで、パリのディズニーランドにも行ってみたいようでした。しかし、行き方がわからず、一人では心もとないので参加している若い人に一緒に行かないかと声をかけ回っていました。それはいいんですけど、旅行費用は親に出して貰って、パリに来て美術館には興味がないと豪語して、ろくに調べもしないでディズニーランドに行きたがっている若い女性に私は共感を持てずにいました。でも、日本へ帰路の旅程の中で、彼女は私の恩人になるのです。





 ここが夕食を食べたお店。ムーラン・ルージュも近いようだ。ムーラン・ルージュの周辺は、治安が良くないと聞いていたが、思ったよりも明るい雰囲気だった。ただ、途中の店の看板にしょっちゅう「SEX」の文字があり、風俗街に近いエリアである事が推測される。個人旅行で来ていれば、日が暮れてからは近寄らないエリアになるかなと思った。
 大学生の女の子が、「こんな野菜・・・」と言う中、僕は全部、食べてしまった。特に美味しいとは思わなかったが、野菜が沢山食べられるのは嬉しかった。
 まあ、しかし、前回来たときも思ったが、フランス料理が美味しいのは、そこそこ高い所でないと無理だと思う。フランス料理は実は、日本人には合わないのではないかと今回、思った。この辺の詳しい事は、また後ほど機会があれば。
 







 テーブル毎にドリンクを頼む。添乗員さんが各テーブルを回って注文を聞いてくれる。これは添乗員さんが注文内容をテーブルクロスに記入したもの。ビールと赤ワイン、それぞれ3つずつ。これは日本で言うと「正ちゃん印」である。もっと増えてくると、縦に線を並べて引き、5本目を縦4本の線を貫くように横に引く。ワンセット、5である。
 しかし、いろいろな人と話をしながら食事が出来るのはなかなか楽しい。これはツアーの良い所であろう。いつもならお店の人に頼まないと撮れない、連れ合いとのツーショットも撮って貰った。

 食事が終わった後のドリンクの精算は、今回はいい加減ではなく、しっかりとチェックをされていた。(^^)




 この日は、ホテルに帰るのも遅くなり、体調もう一つの私は前日同様パタンキューでした。

 モン・サン・ミッシェルまでは片道350kmある為、夕食を食べてホテルに帰ったのは22時前であった。バスに乗っていただけであったが、やはり疲れた。いつもなら、シャワーを浴びて、パソコンを広げて、旅行記を書き始める所であるが、時間も遅いため、シャワーは朝に回し、デジイチのデーターだけ、転送しておこうと思って、パソコンを立ち上げて・・・フと思い出す・・・転送ケーブルは???いや、大丈夫、ケーブルがなければ、CFを取り出してカードリーダーで・・・カードリーダー?いつもの鞄じゃないぞ???持ってきてないぞ????
 「しまった〜。」と思わず声を上げてしまう。デジイチのCFは4Gが入っているが、残撮影可能枚数は70枚ほど。もう一枚、予備のCFカード(4G)もあるが、この先の事を考えると・・・。最悪、どこかでカードリーダーを買う事も必要になるかも・・・・。
 まあ、今更どうしようもないので、パソコンを落として寝ることにする。今朝は6時30分にモーニングコールが入った。明日は7時30分にモーニングコールをセットしてありますと添乗員さんが言っていた。本当に至れり尽くせりである。
 携帯電話、デジカメの電池を充電器にセットし、ベッドに潜り込んだ。




前へ      次へ

パリトップへ